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新幹線通勤にむけての土地探し

栃木県那須町在住・伊藤貢司さん

今回のゲストは、栃木県那須町のご自宅から東京へ新幹線通勤をなさっている、会社員の伊藤貢司さんです。現在のご自宅に越すまでは、千葉の社宅から東京へ通っていたという伊藤さんは、アウトドア趣味の影響もあって、田舎暮らしを志向し「雑木林の中に建つ自宅」という夢を実現されました。休みの日のほとんどを趣味にあてているのに、まだ時間が足りないという、充実した伊藤さんの暮らしぶりはどんなものなのか。じっくりとうかがいました。

都会には結局なじめなかった

私はいま、栃木県の那須町に自宅を持っています。ここに越してくるまでは、千葉市にある会社の社宅に住んでいました。ですが当時も今も、勤め先は一緒です。現在は通勤に新幹線を使って、東京の会社へと通っています。

生まれと育ちは静岡の御殿場です。そんなに田舎ではないものの、都会というわけでもない環境で、わりとのびのびと育ってきました。だからでしょうか、私は大学進学を機に東京へ出て、自分が都会の空気になじめないことを実感してしまいました。

結局、この気持ちは都心部で就職した後も消えませんでした。「いずれは自然の豊かなところに住みたい」という気持ちを抱えたまま仕事をするようになっていたんです。

田舎暮らしへの気持ちを後押しした要素のひとつには、アウトドア趣味があります。当時は、結婚して千葉市の住宅地にある社宅を借りていましたが、休日になるといつも山に行ってハンググライダーをやっていました。きれいな空気の中を飛び回ると、すごくいいリフレッシュになるんですよ。

ですが、ある時に気づいたんですね。仕事のない日はだいたい山にいるから、社宅で過ごす時間がほとんどないということを。そこで出てきたのが「だったら田舎に住んでしまおうか」という話でした。

新幹線通勤にむけての土地探し

田舎で暮らしたいといっても、普通はいろんな弊害が出てくるものですよね。たとえば会社が新幹線通勤を認めてくれないとか、奥さんが反対するとか……。けれど私の場合は、幸いにもそのどちらも「OK」だったんです。

そこで土地を探し始めて、見つかったのがいま私が住んでいる那須町の土地です。移住を果たしたのは今から15年前、私が30歳の時でした。

最初から場所を那須と決めていたわけではないんです。けれど那須には「あこがれの土地」というイメージがあったんですよ。

ハングライダーの競技のひとつにクロスカントリーというものがあります。山から飛び立って、サーマルという温かい上昇気流に乗ってどんどん先に飛んでいく競技です。実は、筑波山あたりをスタート地点にしていた私にとって、那須というのはなかなかたどり着けない土地でした。だから「あそこまで行きたいな」という感じであこがれていた部分があったんです。

それに、筑波山から那珂川に沿って飛んでいく途中、北関東のこのあたりは上空から眺めてすごく雰囲気のいい土地だなと思っていたこともあります。

那須に決めたもうひとつの理由は、会社が新幹線通勤を認めているといっても、無制限に遠くまでOKというわけではなく、このあたりがリミットだったことです。ですから那須塩原駅か新白河駅から車で30分圏内の土地を探してみた、という側面もありました。

東京への通勤時間は長くても平気

個人的にはずっと「広い林の中に住みたい」という気持ちがあったものですから、3000坪の雑木林の真ん中に建つ我が家はとても気に入ってます。

千葉に住んでいる時は、通勤に片道で1時間30分ほどかかっていました。この時点で、けっこう長い通勤時間ですよね。でもその通勤時間は那須に越してきて、片道で約1時間ほど延びました。

「片道2時間半」と聞くと驚かれるかも知れませんが、実は私の仕事では通勤は毎日ではなく、月に15?20日程度なので、そんなに苦痛とは感じていません。なにしろ新幹線に乗ればまず確実に座れますから、寝ている間に着いちゃうんですよ。

……考えてみれば、移住をした15年前の私は、たとえ毎日2時間半の通勤が必要だったとしても、移住を決めたかもしれませんね。あくまで「今思えば」という話ですが、それくらい林の中での暮らしにあこがれていたんですよ。それにもともと、仕事のない日は毎日のように北関東の山に通っていたわけですし、その際の自動車渋滞にも飽き飽きしていましたからね。

ですから、都心近くに戻りたいという気持ちはまったく湧いてきません。ここに住んでいると、太陽や大地から力をもらえる気がするんです。東京だと、なんだかゲンナリしちゃうんですけどね(笑)。

新しい趣味で大忙し

那須へ来てからは、実はハンググライダーをやる回数はだいぶ減ってしまいました。というのも、新たな趣味がいろいろできてしまったんで、グライダーだけに時間を割けないんですよ。

たとえばアウトドア関係だとカヌーでの川下りや、モーターパラグライダー、登山、ウィンドサーフィンなどを始めました。

畑を耕したりシイタケを栽培したりといった家庭菜園的な趣味もスタートしました。その昔、御殿場の実家にいたころ、父の家庭菜園でとれた野菜の味が頭に残っていたので、引っ越したら自分もぜひやってみたかったんです。

結果、我が家では自家製の野菜が結構な頻度で食卓にのぼっています。今の時期だと、サニーレタスやキャベツ、越冬したゴボウなんかがおいしいですね。

最近になって米作りも始めてしまいました。近所の農家の方に300坪ほど田んぼをお借りして、有機・無農薬の合鴨農法に挑戦してみたんです。これもまた、市販品を買うよりもずっとおいしいと胸を張れます。 もしかすると、外食の楽しみが減るという理由で田舎暮らしに抵抗を感じている人もいるかもしれませんが、私自身にはもともと外食趣味はありませんでしたし、それよりも自分で作った野菜や米のほうが全然おいしく感じます。田植えや草取りなど、時間は取られますが、子供にもおいしいものを食べさせてやれますから、幸せな趣味だなと思っています。

学力の面では都会の方がいいけれど

移住をしてきた時点で、私たちには子供がいませんでしたが、今は3人の子供がすくすくと育っています。思えば、子供がいないうちに動いたことは正解でした。やはり子供ができてからだと、環境を変えることによる負担は大きくなりますからね。

子供たちも、赤ん坊の頃から自然環境の中で育てられるのでとても元気です。学力という面では都会で育てたほうがいいのかもしれませんが、のんびりした田舎で暮らす子供を見ていると、すごく素朴で子供らしいんです。小石や栗のイガなんかが落ちていてもへっちゃらで裸足で駆け回っている姿を見ると「おお、たくましい」と感心してしまいます。

基本的には外で遊ぶことが多い子供たちに、家の敷地の林の中にブランコや綱渡り場などを日曜大工で作ってあげるのも、私の趣味のひとつです。もともと、ものづくりが好きだったんですが、都会や住宅街に住んでいると、こういう大きなものは作れませんからね。でも場所も材料もたくさんある場所に来たとたん、いろんなアイデアが湧いてくるから不思議なものです。

子供たちのアスレチック用具のほかに、小屋や焚き火場を作ってみたりもしました。今の目標は、木の上にツリーハウスを建てることです。近いうちに実現したいですね。

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