Interview隊員インタビュー

Vol.60 愛媛県伊予市 - 新居田 真美さん「つまらない」を「ワクワク」に

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

東京で10年ほど暮らしていましたが、最終的には地元・愛媛で暮らしたいと考えていました。そして可能ならば、仕事と暮らしのバランスがとれた生き方をしたいとも。

また、愛媛に戻るのであれば、地域と向き合う仕事がしたいと思い、前職以前に出版関連に勤め、培った経験を活かせるような愛媛での仕事を探していました。

HPで見つけた「地域おこし協力隊」は、地域に根差して仕事ができるので魅力的に映りました。 東京で愛媛の説明会が開催されることを知ったので、参加し、自分の経験が役に立てるのか質問をしました。担当の方が地域の魅力を熱心にプレゼンしていたので、そうした熱い想いを前にしてますます、地元に戻りたいと思うようになりました。

伊予かすりの普及活動をしている、伊予農業高等学校の生徒の皆さんの発表の場に。伝統工芸士の方から、織の手ほどきを受ける。

伊予かすりの普及活動をしている、伊予農業高等学校の生徒の皆さんの発表の場に。伝統工芸士の方から、織の手ほどきを受ける。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

伊予市郡中地区の中心市街地の活性化が主な任務。

その商店街の中に佇む明治44年に建てられた銀行の建物が、着任当時は空き店舗となっていましたが、2014年5月に「郡中まち元気サロン 来良夢(こらむ)」として、民間で活用されることになりました。来良夢が新たなコミュニティづくりやチャレンジの場となるように、施設運営のサポートをしています。これまで、趣味の教室や勉強会、手づくり市、伝統工芸・伊予かすりの発信などさまざまな催しを行ってきました。

これまで熱心に民間でまちづくりが行われてきた地域ですが、メンバーが固定され、高齢化を迎えており、数十年後を考えると危機感が募るのは否めません。そこで、来良夢で、新たなまちづくりの担い手を生み出せることを目的に場づくりをしています。

商店街の空き店舗が、2014年5月1日に「郡中まち元気サロン来良夢」としてオープン。

商店街の空き店舗が、2014年5月1日に「郡中まち元気サロン来良夢」としてオープン。

ある一日の活動
6:00 [起床] → 6:10 [朝食&前日の活動をSNSなどに掲載] → 8:30 [出勤・朝礼] → 10:00 [来良夢] → 12:00 [昼食] → 13:00 [来良夢] → 16:00 [帰庁] → 17:00 [退庁] → 19:00 [来良夢でイベント開催] → 21:00 [イベント終了後片付け] → 21:30 [帰宅&夕食(もしくは軽食)] → 22:30 [写真整理&SNSなどに掲載] → 24:30 [就寝]

Q3.実際に伊予市に暮らしてみた印象を教えてください

伊予市郡中地区で暮らす前に、商店街を一通り案内していただきましたが、店舗や人通りが少ない印象でした。しかし、実際に暮らしてみると、路地を入ったところにも、長年の味を今に伝えるユニークな店が残っており、そうした店には、馴染みのお客さんが通い、まちの人々に愛されているのを感じました。

それらの店では、店主との人情味あふれる会話も楽しめます。伊予弁の話し方が優しいと言われており、言葉からも人の温かさが感じられるのも魅力の一つです。

また、産直の「手づくり交流市場 町家」があり、野菜の新鮮さや安さにも驚きました。まち暮らしですが、車で数十分で市内が一望でき、海へは歩いて数分。自然が近いまちであることを実感しています。徒歩圏内に商店や金融機関、病院、駅があり、歩いて暮らすことができるのも安心です。

まちづくり郡中が手がける、移住促進事業のサポートも。まち暮らし体験ツアーでは、参加者の方に、余所者目線で、魅力をPR。

まちづくり郡中が手がける、移住促進事業のサポートも。まち暮らし体験ツアーでは、参加者の方に、余所者目線で、魅力をPR。

Q4.今後の目標を教えください

これまで、来良夢の運営や協力隊の活動を通して、多くの人々と出会い、ご縁をいただきました。ここで得られたつながりを活かし、表面上は「何もない・つまらない」と言う人が多いまちに「ワクワクすること・愉しみ」を増やしたいと考えています。

ひとまず、現在進行形のプロジェクト「食」「本」「魅力発見・発信」をテーマに、さらに人をつなぎ、そこから新たなコトを生み出したいと考えています。

最終年度を迎えていますが、自分のまちのことを自分事と捉えて行動でき、ゆくゆくはまちづくりの担い手となる人を巻き込めるか、そして、自分が抜けても、現在手掛けている運営が途切れない仕組みづくりも課題だと思っています。任期を終えても結果が出るかどうか分かりませんが、種まきを続けていく予定です。

ドキュメンタリー映画「まちや紳士録」を上映。歴史ある建物を見直し、まちづくりに活かす契機につながった。

ドキュメンタリー映画「まちや紳士録」を上映。歴史ある建物を見直し、まちづくりに活かす契機につながった。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

地域おこし協力隊として来良夢の運営をサポートするようになり、これまで、このまちに関心のなかった人々も足を運んでくださるようになりました。小さな変化ではありますが、第一歩だと思っています。

ケースバイケースなので、一概には言えませんが、なるべく地域の声を聞き、その中から要望があること、自分も関心が持つことができ、続けられそうなものを、まずは実現させるように心がけました。ただ、予算は前年度に組みますので、柔軟に対応できるようにその辺りを考慮する必要があります。

地域に入ったら、最初は余所者です。孤独なことも多いため、着任当初から、同じ悩みを共有できる協力隊ネットワークや地域づくりのネットワークを築いておけると、多くのことが学べますし、その後も心強いと思います。

伊予灘の風景は、毎日違う表情を見せ、飽きることがない。特に夕日は素晴らしく、日々、力をもらっている。

伊予灘の風景は、毎日違う表情を見せ、飽きることがない。特に夕日は素晴らしく、日々、力をもらっている。

PROFILE / 新居田 真美さん

新居田 真美さん
年齢
40歳
着任年月
2013年9月
出身地
愛媛県松山市
前職
派遣職員として化学物質行政に携わる
隊員になって良かった事は?
普通のUターンでは、出会えなかったであろう人々と出会えたことがかけがえのない財産。毎日瀬戸内の美しい風景を眺め、自然を感じられることも嬉しいです。

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