JOIN 移住・交流&地域おこしフェア 2021autumn レポート

JOIN 移住・交流&地域おこしフェア 2021autumn レポート

北海道から沖縄まで全国197団体が出展した「JOIN移住・交流&地域おこし フェア2021autumn」が、2021年10月1日(金)~3日(日)の3日間、新宿住友ビル 三角広場にて開催されました。新型コロナウイルス感染対策がなされた会場には、157の「移住・交流相談ブース」、33の「地域おこし協力隊募集ブース」などが出展し、盛り上がりを見せました。
なかでも勢いのあったブースや、地域おこし協力隊の現役・OB・OG隊員、熱心に話を聞いていた来場者の声をレポートします!

現役隊員

現役隊員01

兵庫県朝来市

﨑山祥さん(写真:右)

2021年4月着任/兵庫県出身
前職:デザイナー

まちづくり協働部
市民協働課 課長補佐

中嶋大介さん(写真:左)

地域おこし協力隊の仕事内容とは?

たとえば今年の協力隊の方は、朝来市を紹介するパンフレットや動画の制作、ふるさと納税の返礼品の製品開発など、多岐にわたる活動をしてくださっていますね。活動内容は基本的に提案型です。協力隊として赴任を検討している方に体験会に来ていただいて、そこから朝来市の課題を知ってもらった上で、どんな活動をしたいか提案していただく流れです。提案の内容によっては地域おこし協力隊の制度のみならず、空き店舗活用制度を始めとしたさまざまな補助金を使っていただくことも可能です。

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

自分で事業を起こしたかったことと、先に朝来市に移住していた姉の影響が大きいです。移住に際して迷いはありませんでした。今は空き家を活用した地域の交流施設を計画しつつ、今日のブースのポスターを手掛けたりといったデザインまわりの活動を行っています。

地域おこし協力隊を退任された方はどうしていますか?

平成26年から16名の方が地域おこし協力隊として着任していますが、そのうち14名が今も朝来で暮らしています。定住率は非常に高いのではないでしょうか。退任後はカフェを開いたり、アートスクールを開校したりと、ほぼほぼ皆さん起業されています。海外から来られた協力隊の方も「ずっと朝来に住みたい」といった思いを抱いてくださっているので、市としてもビザや永住権の取得に向けて動いているところです。

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

「朝来市で一緒に楽しもう」という気持ちで来てもらえたら嬉しいです。まずは何度か足を運んで実際に朝来市を見てもらって、納得してから地域おこし協力隊にエントリーしていただければ嬉しいです。こちらも案内や対応をさせていただきますので、お気軽にご連絡ください!

現役隊員02

長野県塩尻市

たつみかずきさん

2019年1月着任/大阪府出身
前職:ローカルビジネス会社代表

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

自分という肩書きで生きていく、というのが僕の根底のテーマとしてあるんです。自分のアウトプットする手段のひとつとして、地域おこし協力隊という制度があるんじゃないかと考えたんですね。僕はもともと会社の代表だったのですが、その肩書きを捨てて地域おこし協力隊に応募しました。生活を始めた当初の全財産は10万円でしたが、そんな僕でも、今も全然生きています(笑)。

協力隊時代から現在の活動内容を教えてください

協力隊時代から、遊休資産を再生し、小さな流動と小さな経済を生み出すことを生業にしています。空き家や空き家から出てくる古物の再生や販売をしている、といったところですね。着任以前の2009年から空き家再生を始めて、合計で11軒の空き家を再生しています。今は築100年の旅館を再生してシェアハウスの運営もしていますね。リノベーションには200名の方に関わっていただいて、現在、離れも含めて20~60代の16名の方が暮らしています。あとは、ミシン店だった建物を活用してお店をやったり、「日本で一番暑苦しい」コワーキング…というかコミュニティスペースを運営したり、移住者に空き家を紹介する「空き家バンク」という取り組みに携わったり。古いものを新しい視点から光を当て直す、という発想でいろんなことをやっています。

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

棲家も生業も選択できる、自由な未来。塩尻に住んでいる人たちは、それをやっているという事実があります。未来は選び放題じゃないですか。もちろん、協力隊になったからといって夢が叶えられるとは言いません。自分がどういう意志を持って何をやっていくか、地域とどう関与していくか、結局はその方次第。行政の方も力は貸してくれるけれど、解決してくれるわけじゃない。一人ひとりがどうやって生きていくか向き合った結果、地域に関係していくという。そう考えた結果、協力隊という選択肢は大いにありなんじゃないかと思います。

OB・OG隊員

OB・OG隊員01

静岡県焼津市

三浦愛さん

2017年10月着任/埼玉県出身
前職:釣具店員など

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

昔勤めていた釣具屋さんの隣町が焼津だったこともあって、ちょこちょこ釣りをしに来ていたんですよ。それで、こんなに通うんだったらいっそ住みたいなって、ふと思ったんですよね。そんなときに、焼津市の地域おこし協力隊募集をSNSで見かけて友達に相談してみたら、本当に偶然、その友達が焼津の担当の方と繋がりがあって。その方と会ってお話ししたところ「やっちゃえばいいじゃん!」とお言葉をいただいて…という流れですかね(笑)。

協力隊時代はどんな活動をされていましたか?

協力隊のミッションの一つに「新規イベントの立ち上げ」があったので、私は地元の漁師さんに協力していただいて、3歳から参加できる初心者向けの釣り教室をやったんですよ。上は87歳の方まで来てくれて、大成功でした!そんな感じで、釣り関係のイベントはいくつか開催しました。あとは、かんぽの宿と協力して、釣った魚をさばいてくれる「釣り人歓迎プラン」を企画したりとか。非常に自由に活動させてもらえていたと思います。

現在の活動内容を教えてください

今は地域おこし協力隊時代のノウハウや人脈を活かして、焼津で独立を果たしました。釣りのPR活動がメインにはなっていますが、去年はコロナ禍で利用が落ち込んだ飲食店を盛り上げる「焼津エール飯」という企画も立ち上げました。今後は焼津だけじゃなくて、まわりの街を巻き込んだワーケーションなどの企画もどんどんやっていきたいなと思っています。

焼津の魅力を教えてください

冷凍カツオの水揚げ量は焼津が日本一です。カツオ節は超有名ですね。元祖は焼津市!…と市長が言っていました(笑)。カツオのへそ…心臓のことを焼津ではへそというんですけれど、つまり心臓を食べるんですよ。おでんにしたり、フライにしたり、本当に新鮮だとお刺身でも食べられます。カツオに限らず安くおいしいものが食べられるので、観光にもおすすめです!

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

最初はやっぱり、地域の方になかなか受け入れられないと思うんですよ。よそ者来たぞ、みたいな。それでもフレンドリーに接していれば、あちらも心を開いてくれます。その地域を好きという気持ちを全面に出していけば、なんとかなります!

OB・OG隊員02

長崎県

久米川泰伸さん(写真:左)

2018年7月着任/京都府出身
前職:ゲストハウスオーナー

小宮大輔さん(写真:右)

2018年8月着任/長崎県対馬市出身
前職:Webエンジニア

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

久米川さん:
海の近くに移住したかったというのが、もともとのきっかけです。それでいろいろと移住先を探しているうちに、地域おこし協力隊の人に会ったんですよね。その人から協力隊の制度について教えてもらって、自分なりに候補地を探してみた上で、佐世保ともう一つ別の地域に応募して…結果的に佐世保が通ったので、晴れて着任、という感じです。

小宮さん:
僕は対馬の出身なので、シンプルに、島に戻りたいという思いからです。大学で福岡に出て、その後は東京で就職したのですが、徐々に島のほうに戻ろうかなということで福岡の会社に転職し、3年半くらい働いている間に対馬の協力隊募集を見つけました。ちょうど「Webを使った観光PR」というミッションの募集だったので、スキル的にもぴったりだと思い応募に至った流れです。

地域おこし協力隊になってよかったと思うときは?

久米川さん:
佐世保市に限らず「地域を盛り上げよう」という思いを持った人とのつながりができたことです。県外の事業者さんとの関わりができたことで、協力隊卒業後の仕事にもつながっていきましたね。

小宮さん:
うーん…本当に、いいことしかなかったので逆に「これ!」というのが思い浮かばないですね(笑)。Uターンの協力隊員というのは対馬では僕が初めてだったのですが、地元の方には非常に温かく受け入れてもらえました。「〇〇の息子やろ!」なんて声をかけられたりとか(笑)。なので、Uターンで協力隊になるのはオススメできますね。その反面「ダメだったらまた出ていけばいいや」という中途半端な気持ちだと厳しいとは思います。Uターンだとその土地で暮らす親にも迷惑がかかってしまうので、戻るからには覚悟を持たないと、といったところでしょうか。

今の仕事や生活について教えてください

久米川さん:
地域おこし協力隊ネットワークを立ち上げて協力隊員や自治体を支援したり、旅行関係のパッケージを作って観光客に佐世保をPRしたりしているところです。今後としては、もともと京都でゲストハウスをやっていたので、佐世保でも展開していけたらいいなと思っていますね。

小宮さん:
今は、妻がいる福岡と対馬の事務所を行き来するような2拠点生活をしています。だいたい月の半分は福岡、半分は対馬という感じですね。協力隊の期間も、そういった感じで2拠点生活をさせてもらっていました。協力隊時代に立ち上げたオウンドメディアがあるのですが、それをリニューアルして対馬の人が対馬を誇りに思えるような情報を発信して、関係人口を増やしていきたいです。

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

久米川さん:
自分のやりたいことと地域から求められているミッションとのバランスをうまくとっていければ、楽しい3年間になると思います。協力隊員になるというのは、すなわち行政の人間になるわけなので、自分のことばっかりになるとバランスはよくないですね。地域に求められることを俯瞰的に見れるようにして活動していけたら、有意義な経験となるのではないでしょうか。

小宮さん:
目的をもって参加したほうがいい、ということでしょうか。ふわっとした気持ちでいらっしゃる方も多いですが、やはり定住率が悪くなってしまうんですよね。普通の会社勤めと違った側面も多いとはいえ、地域おこし協力隊はあくまで「仕事」です。その意識をしっかり持って、地域の人とコミュニケーションをとってやれるかどうか。ネットやこういったフェアなどで事前に調べられることもたくさんあるので、地域に求められていることを理解した上で、自分に何ができるか考えてみるのがいいと思います。

受け入れ自治体

受け入れ自治体01

岐阜県八百津町

地域おこし協力隊

穴沢真吾さん(写真:左)

地域おこし協力隊の仕事内容とは?

起業型なので、基本的に隊員それぞれに合わせた活動となります。隊員の「これやりたいです!」というような発信に対して、町が「じゃあ、こんな形で地域と関わっていったり、進めていったりしたらどう?」という提案をしてくれるので、それに合わせて年間計画を立てた上で活動を進めていく流れです。OBには藍染めと雑貨、衣類を販売するお店や、デジタルファブリケーションカフェを起業している方もいますし、現役の隊員も6名いてそれぞれの取り組みを進めています。活動経費は年間200万円支給されるので、そのお金をうまく使いながら活動できますよ。

八百津町の魅力を教えてください

なんといっても自然が豊かです。かつ名古屋から車で1時間ほどと、アクセスが悪くないことも魅力ではないでしょうか。あと協力隊のことでいえば、人ですかね。八百津は人がめちゃくちゃいいんですよ。ほどよい距離感で付き合ってくれるというか、「信じて任せてくれる」という印象がとても強いです。かといって放っておくわけではまったくなく、バックアップもしっかりしてくださいます。そのあたりのバランス感が非常に素晴らしい地域だと思いますね。

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

条件は悪くないかと思うので、まずは八百津の協力隊募集のシステムを知ってほしいです。その上で、おもしろい人がどんどん来てくれたら嬉しいですね。

受け入れ自治体02

広島県呉市

呉市 市民部|地域協働課 課長補佐

村上浩二さん(写真:左)

地域おこし協力隊の仕事内容とは?

具体的に「この仕事!」というものはありません。地域に入っていただいて、地域と話をする中で、地域の要望に応えていただく形になります。地域が抱えている課題を感じ取って「これをやってみたい」と手を挙げるのもいいですね。課題を解決するための手段として、ご自身のスキルとうまくマッチングさせられるのが理想的かと思います。たとえば過去には「イベントで島に人を呼び込む」といったテーマで活動されていた方がいました。あとは、お試し移住ができるシェアハウスを作った方もいましたし、地域の特産品を作ったり、島にお店が少ないということでお店を開いたり…。本当に皆さん、多種多様な取り組みで盛り上げてくださっていますよ。

呉の魅力を教えてください

ほどよく都会で、ほどよく田舎といったところでしょうか。ちょっとした街があって、その半面で山と海に囲まれた自然豊かな地域もありますし、非常に生活しやすい地域なのではないでしょうか。あとはJRが通っていることに加えて、高速道路に繋がるバイパスが開通したこともあり、アクセス面でも恵まれているかと思います。とはいえ、島のほうに行くと良くも悪くも田舎感があるのは否めません。自然に囲まれている代わりに、家には囲まれていないという感じですかね(笑)。

協力隊員として、どんな方に来てほしいですか?

呉市としては、特に年齢にはこだわっていません。何より大切なのは、やはり地域と仲良くしてくださることだと考えています。現在活躍している隊員の方もそういった付き合いを通して、地域への興味や理解を深めているように感じられますね。なので、自分のやりたいことと地域で暮らすことのバランス感がとれた方に来ていただけたらと思います。もちろん、その上で長く暮らしてくださったら嬉しいですね。

これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?

応募するしないはさておき、とりあえず一度は呉に来ていただいて、雰囲気を体感してほしいですね。レンタサイクルで島をめぐってみるのも楽しいかと思いますよ。その上で、ぜひ応募を検討していただければ幸いです。

来場者

来場者01

戸井田さん

大学生・東京都出身

フェアに来たきっかけは?

もともと地域おこし協力隊になりたいという思いがあったので、地域移住のことは以前から考えていました。さっき話していた協力隊の方は、実は私の大学の先輩なんです。その先輩を研究室の先生に紹介していただいたときに、JOINフェアのことも教えてもらったので、まずは話を聞いてみようと思って来てみました。

実際にフェアに来てみてどうでしたか?

地域おこし協力隊になることは去年から考えていたのですが、やっぱり自分で実際にその土地へ行ってみるまでは決められないな、という気持ちもありました。けれど、コロナの感染拡大状況を考えると、東京から行くこと自体が地域の方の迷惑になってしまうのではないか…ということも考えてしまって。なので、今回役場の方と話をすることで、イメージをかなり具体的にできたのでよかったです。ネットだけでは知り得ないことがたくさんわかりました。理想としては、来年の4月から協力隊員になれたらいいなと思っています。

来場者02

安村さんご夫婦

東京都・福岡県出身

フェアに来たきっかけは?

もともと移住を考えていたので、フェイスブックの広告で見かけて来てみました。以前から移住を考えていた地域があるので、そちらの話を聞きに来た感じです。

移住に興味を持ったきっかけは?

私が東京出身なので、ずっと田舎に憧れはありました。コロナの影響があったので、思いはいっそう増しましたね。このイベント以前にも、移住のオンラインフェアなどには積極的に参加していました。

地域おこし協力隊に興味を持ったきっかけは?

地域おこし協力隊の制度については、2年くらい前から知っていました。私たちは海外協力隊の経験があるのですが、なにか調べようとしてネットで「協力隊」と検索したら「地域おこし協力隊」が出てきて。「あれ? なんだこれ?」みたいなきっかけでしたね(笑)。

実際にフェアに来てみてどうでしたか?

今までもオンラインイベントには参加していましたが、今回は直接地域の方と話せたことでより雰囲気が伝わってきましたし、改めて魅力を感じました。できれば次年度の4月から協力隊になりたいです。