JOIN 移住・交流&地域おこしフェアレポート 2020

JOINフェアレポート 移住・交流 地域おこしフェア 協力隊編

北海道から沖縄まで全国約400団体が出展した「JOIN移住・交流&地域おこしフェア」が、2020年1月26日(日)に東京ビッグサイトで開催されました。会場は「移住・交流相談ブース」、「地域おこし協力隊募集ブース」に分かれており、来場者は興味のある自治体の話を、自治体担当者や地域おこし協力隊員、OB隊員に直接相談していました。
来場者は、すでに地域を絞り込んでいる人から、地方移住時の選択肢のひとつとして話を聞いておきたいといった人などさまざまです。真剣に話をしていた来場者の声を、レポートします!

現役隊員

鹿児島県南大隅町

2017年4月着任/鹿児島県出身
前職:ジャガイモ農家
(村バイト)

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

大学でグリーンツーリズムや農家レストランと地域のつながりについて勉強をしており、農村の観光に関わる仕事をしたいと思っていました。大学卒業後は鹿児島県内のジャガイモ農家の住み込み村バイトとして働き、食べ物を作る人への尊敬が強くあった。農村を未来に残し、地域のコミュニティを応援する仕事をしようと協力隊を志しました。
同じタイミングで、南大隅町の地元の飲み会に呼んでもらったことがあり、人々の明るさに惹かれ「ここの協力隊に応募しよう」と決めました。

現在の活動とは?

都市と農村の交流を推進する「農業体験プログラム」のコーディネーターを担当しています。
田植え体験、収穫体験など季節ごとにプログラムを企画し、鹿児島県内の子どもたちや学生、社会人など幅広く農業体験をしてもらいます。

地域おこし協力隊になってよかったと思うときは?

プログラム参加者の笑顔に触れたとき。子どもたちが泥だらけになってはしゃいでいる姿を見ると、やってよかったとほっとします。何より、参加者を受け入れてくださる地元の農家さんが「頑張ってよかったね」「喜んでくれるとやりがいがあるね」とおっしゃってくれるのがうれしい。普段の作業以外に手間を割いてプログラムに賛同してくださるので、農家さんにはとても感謝しています。

これから協力隊になる人へのアドバイスはありますか?

田舎には、都会にいるときの「不特定多数の中の一人」になれる自由さはないかもしれません。ただ、一人の意見が大切にされ、個人としてしっかり見てもらえるあたたかさがあります。田舎の人間関係はよりウェットになりますが、愛されているな、と感じることもたくさんあります。そんな田舎独特のカルチャーを楽しめる方に来ていただきたいです。

山口県光市

2018年4月着任/東京都出身
前職:心理カウンセラー)

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

東京で暮らしていたときからキャンプが好きで、週末には大自然の中1泊2日のキャンプをするのが日常でした。その延長で「田舎に暮らしたい」と思うようになり、地域おこし協力隊に興味を持ち始めました。
光市がいいなと思ったのは、「海と山と街がちょうどいい距離にある」から。移住前に全国いろいろなところに行きましたが、車で20~30分で、海にも山にも、買い物できる場所にも行ける。自然の豊かさと、生活する上での便利さがちょうどよく、すぐに気に入りました。

現在の活動とは?

空き家の活用促進です。まずは、地域住民の方に協力いただきながら、空き家になっている物件を見つけるところから始めます。物件所有者と賃貸や売買が可能か交渉を進め、リフォーム、リノベーションによって快適な住まいを作っていきます。空き家の活用は、町全体の活性化につながり、移住者を呼び込む上でも大切な要素になります。

地域おこし協力隊になってよかったと思うときは?

「川口さんが来て、地域が明るくなった!」と言っていただけるときです。
これまで農家さんが周りにいない環境で生きてきたので、地域の方から「野菜が採れたからあげるよ」といただくと、そのたびに感激するんです。「こんな大きいキュウリ初めて見ました!」「トマトってこんなにツヤツヤなんですね!」と喜んでいると、農家さんから「そのリアクションに癒される」「普通の野菜をもらってはしゃぐなんて、子どもみたい」と言われます(笑)。でも、“よそ者”だからこそ新鮮な視点で、光市の良さを気づける。地域の方が「普通」と思っていることも、全然普通じゃなくて「素晴らしい」のだと伝えていきたいです。

これから協力隊になる人へのアドバイスはありますか?

何のために移住するのか、目的意識を明確に持ってから行動に移した方がいいと思います。都内にいると、自然に囲まれた田舎暮らしは「豊か」に見える。でも当然ながら、うまくいかないこともたくさんあります。自分にとって豊かさとは何かを見失わないよう、どういう人生を歩みたいのかを考えておくといいでしょう。
空き家の活用を進める上では、地域の方と丁寧にコミュニケーションをとり信頼関係を築かなければうまくいきません。「信頼」はどんな仕事にも共通する土台です。いつも笑顔でいること、誠実でいることが大切だと思います。

OB隊員

愛媛県松野町

2017年4月着任/東京都出身
前職:大学生

2016年4月着任/愛媛県出身
前職:コピーライター

協力隊に応募したきっかけはなんですか?

矢間:大学から地元・愛媛県を離れ、大阪で20年以上コピーライターとして働いていました。刺激的な仕事でしたが、日々多忙を極め非人間的な生活でした。その反動から、「自分で食べるものを、自分で作る生活がしたい」と農業に挑戦したくなり、農業研修が充実している松野町に来ました。
3年間、農林公社さんの仕事をお手伝いしながら学ばせていただき、今は自分で畑を持つ桃農家として独立しています。協力隊員に応募したとき「園地はあるし、技術は研修で身につけられる。備品もすべて用意するから体一つで来てくれればいい」と言われました。本当にその通りだった。協力隊の受け入れ環境として、松野町は完璧です。

大塚:僕は大学を2年間休学して協力隊員になり、大学卒業後、現在は都内でマーケティングの仕事をしています。生まれも育ちも東京で、社会人になる前に田舎暮らしをしたいと思っていました。JOINフェアに行ったところ、松野町の役場の方が例外的な任期を認めてくれ、背中を押してくれた。おかげで本当にすばらしい経験ができました。

地域おこし協力隊になってよかったと思うときは?

矢間:人生が一変し、桃農家として生きれていることに感謝しています。
松野町のサポートもあり、現在は老舗和菓子メーカーさんの契約栽培農家として安定的に出荷できる状況です。まだまだ収入としては誇れるものではないけれど、「自分が育てた桃ができた!」ときは心からうれしい。自分でおいしいものを作れる、ということはしあわせなことです。
僕のあとにたくさんの協力隊員もやってきて次世代へと続いています。移住者をさらに増やすために、桃農家と移住支援コーディネーターの二足の草鞋を履いており、週3日は役場勤務、4日は農家という働き方を続けています。小さな田舎だからこそ、やりたいと思ったことをすぐ行動に移せるんです。

大塚:僕は「田舎暮らしへの憧れ」だけで協力隊員になったのですが、生活も人間関係も180度異なる環境は、ものすごく刺激的でした。「愛媛県をもっと盛り上げたい」「松野町をこういう場所にしたい」という志をもった協力隊の仲間と、熱く語り合った時間は忘れられません。今もつながりがあり、人生の財産になりました。
現在、都内でマーケティングの仕事をしているのは、いつか松野町でスキルを生かしたいと思うからです。いいものを作っているのに、売るのが難しく埋もれている商品がたくさんある。マーケティングスキルを磨き、自分が販売、PR戦略を手掛ける側として、松野町に恩返ししたいです。

これから協力隊になる人へのアドバイスはありますか?

矢間:農業は、日々コツコツと同じことをやり続ける姿勢が大切です。こんなスキルを身につけたい、こういう生き方をしたいという明確な意思を持った方に来ていただきたいと思っています。また、協力隊の任期が終わったあともその地域に定住できるか…という長期的な視野を持って場所を選ぶことも大事だと思います。大塚くんが去っていくときすごく寂しかったので(笑)。

大塚:僕もまた戻りたいです!
移住前の下見は必ずすべきだと思います。僕は2泊3日で2度訪れ、「この環境が好きだ!」とびびっときた。直感はぜひ大切にしてほしいですね。