JOIN 移住・交流&地域おこしフェアレポート 2020

北海道から沖縄まで全国約400団体が出展した「JOIN移住・交流&地域おこしフェア」が、2020年1月26日(日)に東京ビッグサイトで開催されました。会場は「移住・交流相談ブース」、「地域おこし協力隊募集ブース」に分かれており、来場者は興味のある自治体の話を、自治体担当者や地域おこし協力隊員、OB隊員に直接相談していました。
来場者は、すでに地域を絞り込んでいる人から、地方移住時の選択肢のひとつとして話を聞いておきたいといった人などさまざまです。真剣に話をしていた来場者の声を、レポートします!


愛媛県松野町

松野町ふるさと創生課
企画調整係 係長
地域おこし協力隊の仕事内容とは?
松野町の協力隊員には、「観光事業」「農業振興事業」「夢叶える提案型事業」のいずれかを任せています。「夢叶える提案型事業」のミッションは、「自身の経験やスキルを生かして、地域の仕事につなげる」ことです。たとえば、最近では、俳句をやっている20代の若者が協力隊員になり、“俳句の町”として町内の盛り上げに貢献しました。もともと松野町は、俳人・芝不器男の生まれ故郷として俳句が有名でしたが、PRがうまくいっていなかった。協力隊員が来たことで「俳句の記念館」の入館者数も増え、町の活性化につながりました。
ほかにも、大工の方が「空き家を改修して移住者を呼び込む活動をしたい」と提案してくれるなど、こちらが思ってもいなかったアイデアが舞い込むことも。町の課題を解決してくれる人を、どんどん柔軟に受け入れていきたいと思っています。
松野町の魅力とは?
山間にある「本物の田舎」なところです。都心へのアクセスの良さ、何でも手に入る便利さはないけれど、山奥で大自然に囲まれて生活したいという「本気の田舎暮らし」を求める方にはこの上ない環境です。地域おこし協力隊員も、どっぷり田舎生活がしたい!という思いで来るので、任務終了後に定住する方が多いですね。
また、松野町は高知県との県境にあり、昔から物流の拠点として交易ルートが栄えていました。そのため、知らない人が来ることに地域の方が慣れていて、受け入れる心が広い。道の駅でテントを張っている若い旅行者がいれば、「何しているんだ? もうすぐ雨が降ってくるからうちに泊まっていけ」と話しかける地元の方がいる。新米の協力隊員にも「どこから来たんだ? 今夜はうちでご飯食べていけや」と家族のように迎え入れます。人のあたたかさは松野町の魅力だと思います。
協力隊員として、どんな方に来てほしいですか?
「この地域で、こんなことがやりたい!」という明確な思い、目的を持った方に来てほしいです。協力隊員を希望する方の中には、「就活で自分を見失いやりたいことがわからなくなった。今の環境から外に出たい」「今の会社をやめて、本当にやりたいことを探したい」といった“自分探し”目的の方が時折いらっしゃいます。
でも、協力隊員のお給料は税金ですし、移住は簡単なことではありません。何をやりたいのかをしっかり持っていなければ、自治体職員や周りの隊員との志との違いに思い悩んだり、地域住民の方とうまくやっていけなかったり、自分が一番苦しくなってしまいます。
「ここで、自分のこんな強みを生かしたい」と具体的に働くイメージを持っている方にぜひお会いしたいです。
これから協力隊員になる方へのアドバイスやメッセージはありますか?
希望者の方は焦らず、まずはその地域を何度も視察に来ること。「移住する頃には知り合いがたくさんいる」という状態になっているくらい、地元の雰囲気をしっかり味わっておくことが大切です。
松野町では、視察で訪れていただければ、現役の協力隊員がおもてなしし、地域住民にたくさん会っていただき、ご本人のスキルややりたいこととマッチした方を紹介します。移住の前の準備をしっかり固めていることもあり、2014年の協力隊員の受け入れ開始以来、住民と隊員とのトラブルは一切ありません。
田舎は、都会の人込みもなくゆったりとした環境です。ただ、田舎には田舎ならではの忙しさがあり、住民の方との交流、イベント参加など“地域活動”は確実に多くなるでしょう。
その忙しさを理解した上で、自分のライフワークを追求する。そんな柔軟な姿勢も大事にしてほしいと思います。



大学生・広島県出身
地域おこし協力隊に興味を持ったきっかけは?
現在、鳥取の大学に通っています。田舎の風景に馴染むうちに「こんな風に自然豊かな地域に定住したい」と考えるようになりました。一つの選択肢として地域おこし協力隊の働き方について調べていたら、全国の協力隊員が集まるJOINフェアがあると知り、鳥取から飛んできました。
移住希望地域はどこですか?
まだまだ情報収集中ですが、興味があるのは北海道。「持続可能は生活の実現」をテーマに掲げるエコビレッジのあり方に関心があり、今年、北海道の余市エコビレッジに3カ月間滞在をすることが決まっているんです。そこでいいご縁ができたらいいなと思っています。
実際にフェアに来てみてどうでしたか?
協力隊員の方に直接話を聞くことができ、人柄の良さにも触れられました。「まずは動いて、自分の目と耳で情報を得る」ことが大切だと実感したので、これからはいろんな地域を旅してみようと自信がつきました。


大学生・神奈川県出身

大学生・島根県出身
フェアに来たきっかけは?
松原:都内の大学で地域創生学部に所属しており、移住や協力隊の活動内容に興味があります。知らない地域の話を直接聞ける機会はなかなかないので、将来を考えるにあたり、情報収集のために来ました。
小野:僕は将来、地元・島根に戻り、移住者を増やすなど地域活性に貢献したいと思っています。地域おこし協力隊について調べていると、移住促進支援の活動をされている隊員の方も多い。話をお伺いして学びたいと考えました。
地域おこし協力隊に興味を持ったのはなぜですか?
小野:大学で地域創生学部に入ったのは、僕の小学校の全校生徒数が、自分の代の4分の1まで減ったことに危機感があったから。大好きな地元・島根がこのまま寂れてしまうのは悲しい。何とか力になりたいと思ったとき、将来の生き方の選択肢の一つとして、地域おこし協力隊という道もいいのではないかと考えました。
松原:僕は神奈川県出身ですが、祖父母が新潟に住んでいて、子どもの頃から毎年夏は1カ月ほど新潟で過ごしていました。自然の中で暮らす日々が本当に楽しくて、その魅力をもっと世の中に伝えていきたいと思うようになりました。里山の風景が残る地域に移住して、情報発信ができたらいい。地域おこし協力隊として活動するのも、一つの方法かなと思っています。
実際にフェアに来てみてどうでしたか?
小野:知らない地域ばかりで、新しい情報をどんどん得られるのがうれしいです。ただ、残念だったのは僕の地元地域のブースがなかったこと。将来、僕が移住推進側になれたら、ブースを出して、地元の魅力をアピールしたいです!
松原:移住したい地域をまだ具体的に絞っていませんが、どのブースで話を伺っても「車がないと生活できない」と言われました。まずは「車の免許を取る」ことがやるべきことだとわかったので、さっそく取ります(笑)。生活スタイルのリアルな話を聞くことができて、貴重な経験になりました。