JOIN COLUMN 空き家で生み出す新しいライフスタイル

どこでも住める社会づくりへ。
LivingAnywhere Commonsが描く新しい暮らし方

不動産・住宅情報サービス事業を展開する株式会社LIFULLは、「不動産業界における情報の非対称性をなくしたい」との思いで、1997年に設立しました。不動産・住宅情報の総合サイト「LIFULL HOME'S」のほか、空き家の再生による新しいライフスタイルの提案事業「LIFULL 地方創生」を展開し、空き家情報のプラットフォーム化、空き家活用の資金調達支援やプロデュース、空き家活用の人材育成とマッチングを進めています。
取り組みの一環として進めている、遊休施設の再活用「LivingAnywhere Commons」について 株式会社LIFULL 地方創生推進部 LivingAnywhere Commons事業責任者 小池克典(こいけ・かつのり)様に話を伺いました。

コミュニティスペース、コミュニティマネージャーの存在が生む新しい出会い

「LivingAnywhere Commons」は、全国にある大型遊休施設をコワーキング&コリビング施設として再生する取り組みです。
“Living Anywhere”の言葉通り、「どこでも住めるような社会を作ろう」という思いを発着点に、プロジェクト自体は2017年からスタートしています。もとは「一般社団法人Living Anywhere」の活動でしたが、「LivingAnywhere」という世界観をより広げていくために、LIFULLの地方創生事業として「LivingAnywhere Commons」を進めることになりました。

株式会社LIFULL 地方創生推進部 LivingAnywhere Commons事業責任者 小池克典(こいけ かつのり)

「LivingAnywhere Commonsは、遊休不動産を活用した“コリビング”という業態を作っています。コリビングが兼ね備えているのは、働く場所、寝泊りする居住環境、コミュニティスペース、コミュニティマネージャーという4つの要件です。
とくに後者2つが特徴的で、利用者の皆さまが施設内の共有空間でコミュニティを形成し、それをファシリテートするコミュニティマネージャーによって、新しいビジネス発想やコラボレーションの機会につながっています」

こうした共通項の要素が備わった施設を、全国に25箇所展開しているLivingAnywhere Commons。個人であれば月27,500円でどこでも活用でき、ずっと住んでいる方から週末に使う方までさまざまだそう。コロナ前はフリーランスが多かったそうですが、現在は20~30代を中心に、企業勤めの方が大多数を占めるようになっています。

「コロナ禍は、一つの家に住んで一つの会社に通うという、長らくアップデートされていなかった暮らし方に変化をもたらしました。テクノロジーを活用すれば、毎日満員電車に揺られなくても、自分の好きな場所で暮らすことが可能になる。定住という社会システムそのものを課題と捉えたのがLivingAnywhere Commonsであり、リモートワークの浸透により、自由な働き方や暮らし方、2拠点居住の考え方が広がっていると感じています」

空き家の利活用というと個人住宅を想像しがちですが、LivingAnywhere Commonsは比較的大きな街での、大物の箱が多くあります。使われなくなった企業の保養所や廃校になった学校、グランピング場など、自治体が頭を悩ませる不動産の活用をLIFULLが担っているのです。
廃校問題一つとっても全国に約6000校あり、毎年約500校が純増しているのが状況です。こうした大型施設を活用することは、地域の課題解決につながると同時に、「コミュニティスペースを設けやすく、出会いが広がりやすいメリットがある」と小池さんは話します。

「どこにでも行ける時代になった今だからこそ、あえてどこに行きたいか、を問われています。仕事の効率性だけを考えればオンラインがいいけれど、新しい刺激がどんどんなくなっていく。仕事に集中できる環境を求める以上に、人に出会いたい、知らない世界に触れたいという、交流や発見自体が大きな価値になっています。
現在、毎月利用者ベースで200〜300人が使っていますが、皆さんからのコメントには、新しい人に出会って発見があったというポジティブなものが多い。だからこそ、LivingAnywhere Commonsではコミュニティを大切にしているのです」

では、LivingAnywhere Commonsでは具体的にどのような出会いやコラボレーションが生まれているのか、次のコラムでご紹介します。