JOIN COLUMN 空き家で生み出す新しいライフスタイル

コリビング施設「LivingAnywhere Commons」が生み出す、
新たなコラボレーション

不動産・住宅情報サービス事業を展開する株式会社LIFULLは、「不動産業界における情報の非対称性をなくしたい」との思いで、1997年に設立しました。不動産・住宅情報の総合サイト「LIFULL HOME'S」のほか、空き家の再生による新しいライフスタイルの提案事業「LIFULL 地方創生」を展開し、空き家情報のプラットフォーム化、空き家活用の資金調達支援やプロデュース、空き家活用の人材育成とマッチングを進めています。
取り組みの一環として進めている、遊休施設の再活用「LivingAnywhere Commons」の具体的な活用事例について、株式会社LIFULL 地方創生推進部 LivingAnywhere Commons事業責任者 小池克典(こいけ・かつのり)様に話を伺いました。

移住・定住検討へのプロセスに、コリビング業態の価値がある

大型遊休施設を再生し、コミュニティスペース運営に特徴を持つLivingAnywhere Commons。受け入れ型の地域も、20~30代を中心としたユーザー層が入ってくることをポジティブに捉えているといいます。

「コリビングという機能が備わっているので、利用者にとっては初期費用がかからず、縁もゆかりもない地域にも気軽に行ける。だからこそ、新しい人がSNSなどの人づてで訪れ、出会いが広がっていきます。
デジタルネイティブ世代が標準装備しているITスキルは、地域社会にとって非常に価値のあるものです。静岡県下田市では、LivingAnywhere Commonsの施設の目の前にある老舗の和菓子屋さんが、急にホームページやFacebookを立ち上げたことがありました。LivingAnywhere Commons利用者が、80歳の店主さんと交流するうちに、『作ってあげますよ』とサポートしたのだそう。交流を通じてスキルのシェア、ギブ&テイクが生まれ、地域からすごく喜ばれると、もっと役に立ちたいという気持ちが生まれます。実際に、下田市では、地域の魅力を発信する法人を立ち上げた利用者もいらっしゃり、ほかにも計3件の法人ができています」

地方創生を考える際には、移住・定住者をいかに増やすかが議論の中心になりがちです。しかし、小池さんは、「いきなり移住を検討するのは大変。検討のステップが必要だ」と話します。

「まずは旅行で地域を訪れる。その後、リピーターになり定住の道を模索するプロセスがあります。そこで重要なのが、仕事が成り立つかという問題です。
LivingAnywhere Commonsは、地域で働くことがリラックスになるという要素もあり、新しい人とのコミュニケーションがコ・クリエーションにつながる可能性もあります。リモートワークで、『ここでも仕事ができる』さらには『事業が生まれる出会いのチャンスがある』となれば、その先の移住・定住の選択肢につながっていく。LivingAnywhere Commonsは、そのプロセスに大きく寄与できているのではないかと考えています」

LIFULLでは現在、JOINの事業を活用し、和歌山県紀の川市と「ワーケーション×農泊推進事業」に取り組んでいます。
この事業ではLivingAnywhere Commonsの運営ノウハウをもとに、フルーツツーリズムという紀の川市の観光資源を活かしながら、年間を通して滞在者が集まるワーケーション拠点を市内につくることを目指しています。2021年度は拠点となる物件の選定・開発と、地域おこし協力隊などの地域人材が担うコミュニティマネージャーの育成を進める予定です。最終的には県内外の企業や個人の出会いから、ビジネスマッチングの創出を目指しています。

「企業目線で考えると、コワーキングスペース活用が従業員の成長や事業開発につながるのであれば、積極的に後押ししますよね。だからこそ、コミュニティ形成により成長機会を生み出す環境づくりが、LivingAnywhere Commonsの重要なミッションだと考えています。」(小池さん)

LivingAnywhere Commonsのノウハウが存分に活かされた紀の川市との取り組みが、今後どのような出会いの場を生み出していくのかとても楽しみです。LIFULLのこれからの取り組みにも注目ですね!

JOINでは地域活性化につながるよう、LIFULLのような地域との交流促進を図る企業の取り組みを引き続き応援していきます!