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田舎暮らし特集

地域活性に携わる大学生にインタビュー

地域に携わることで見えてきたこととは。

今回は、現地で地域住民との交流、イベント企画・運営などを手掛ける3名の大学生に、地域活性につながる活動内容や興味を持ったきっかけ、活動を通じて得たものについて話を聞きました。

インタビューメンバー!

出身
埼玉県越谷市
学校
慶應義塾大学
総合政策学部
総合政策学科 4年
活動
飯盛義徳研究室にて地域活性化に向けた活動を行う。
出身
静岡県静岡市
学校
慶應義塾大学
総合政策学部
総合政策学科 3年
活動
飯盛義徳研究室にて地域活性化に向けた活動を行う。学生団体Literrace(リテラス)の立ち上げ、運営を行う。
出身
埼玉県東松山市
学校
嘉悦大学
ビジネス創造学部
ビジネス創造学科 2年
活動
ゼミ活動で小平市、多摩地区のお祭りに参加し地域と交流。2019年7月に地方創生実践塾in長野県小布施町に参加。

目次

  • Q1 どんな活動をされていますか?
  • Q2 「地域」に目を向けるようになったきっかけは?
  • Q3 「やっていてよかった!」と思えた出来事は?
  • Q4 活動で得たものを、今後どう活かしていきたい?

Q1 それぞれの形で地域活性に携わってきた3人。具体的にはどんな活動をしていますか?

地方創生をテーマにした大学のゼミで、地域の課題解決に向き合ってきました。
佐賀県唐津市では「観光客が減ってしまった七ツ釜をもっと賑やかにしたい」という地域の方と、玄海七ツ釜国定公園でのイベントを企画。魅力発信のためのワークショップも行いました。
埼玉県白岡市では、少子高齢化が進む中、高齢者と子どもが交流できる場を作るため、地域の集会所で「元気食堂」を開催しています。地元の野菜を使ったカレーや、サンマでバーベキューなど、食を通じた多世代交流を目指しています。

僕も久保さんと同じゼミなのですが、群馬県前橋市の商店街活性化プロジェクトや、東京・中目黒の飲食店を紹介する冊子『中目の黒本』の特集ページ制作プロジェクトに参加しています。
商店街活性化プロジェクトでは、購買につなげる仕組みづくりのため、お店紹介のポストカード制作にも取り組みました。
また、学外では、学生団体Literrace(リテラス)を立ち上げ、地域と高校生を結ぶイベントやワークショップを企画・開催しています。例えば、僕の地元・静岡県静岡市で、学校の垣根を超えた合同文化祭を企画したり、佐賀県唐津市で高校生向けに3泊4日のドキュメンタリー制作合宿を行いました。地域にフォーカスしたドキュメンタリーを制作することで、自分たちの地元について客観的に考える機会を作れたらいいなと思い開催しました。

私もゼミ活動の一環で、大学がある東京都多摩地域・小平市を盛り上げようと、地域のイベントに出店して交流を深める活動をしています。
学外では、地域の大学生同士のつながりを作るインターカレッジサークルに所属していて、半年に1回のペースで北海道や島根県出雲市、京都などさまざまな地域に足を運んでいます。同じ国内でも地域によって人々の暮らし方が全然違うのが面白くて、今年(2019年)は一般財団法人 地域活性化センターが主催する「地方創生実践塾in長野県小布施町」にも参加しました。

Q2 「地域」に目を向けるようになったきっかけは?

もともとは建築に興味があり、大学でも建築デザインを勉強しようと思っていました。父が建築系の仕事をしており、街や建物を見るのが好きだったんです。ゼミの教授である飯盛先生の授業を受けてから考えが変わり、“建物”だけではなく建物を含めた街の中で、人がどう交流しコミュニティを作っていくのか、ソフト面から街づくりを考えるのが面白そうだと思うようになりました。
また、生まれも育ちも埼玉で、遠い場所に行ったことがあまりなかったため、地元から離れた場所に縁が作れたらいいなという軽い気持ちで佐賀県唐津市のプロジェクトに参加しました。年3~4回のペースで通ううちに、唐津のことがどんどん好きになっちゃいました。

僕は、高校時代の経験から来ています。地元・静岡市の高校で生徒会に入っていたのですが、先輩たちが「他校の生徒会と連携しよう」と動き出し、そこからさらに派生して、「加盟校で合同の文化祭をやろう」という企画が立ち上がりました。地域の方もすごく応援してくれて、みんなで楽しく準備していたのですが、大人の事情で開催できなくなってしまったんです。それがすごく悔しかった。高校生がやりたいことを自由にできない環境ってどうなんだ、と地域教育に興味を持つきっかけになりました。地域の方と交流を持ちやすい物理的な環境があっても、つながれないのはあまりにもったいない。ちょっとした工夫で高校生と地域の交流は作れるはずだと、学生団体の立ち上げを決めました。今進めている静岡市の合同文化祭プロジェクトは、まさにリベンジ企画ですね。

私は、地元・埼玉県東松山市で育ち、大好きな街の人口が徐々に減っていくことに寂しさを感じてきました。地域の魅力をもっと伝えられたら人が遊びに来るかな…という思いから、将来は観光の仕事に就いて、いろんな地域の魅力を伝えられる人になりたいと考えるようになりました。
観光業に携わるなら、地域のよさを自分の言葉で伝えられるようにならなくちゃと思い、今のゼミに行きつきました。ゼミのテーマは「自分の地域をブランド化する」というもので、まさに私がやりたかったことでした。小平市の特産品・ブルーベリーを販売するなど、地域の方も知らない魅力をいかに引き出せるか試行錯誤を続けています。

Q3 「やっていてよかった!」と思えた出来事は?

思い出深いのは、埼玉県白岡市で行った、地元の小学校での「ランタンナイト」です。
少子化で全校生徒が60人になってしまった小学校があり、その地域を盛り上げるべくみんなでランタンをあげるお祭りを開催しました。企画の段階から携わったものの、実際の準備を主体的に進めたのは地域の方々で、協賛金をを募ったり、地域住民の方への連絡を進めたりと動き回ってくださいました。お祭り当日は「この地域にこんなにたくさん人がいたんだ!」と地元の方から驚きの声が上がったほど。うれしかったのは、疎遠になっていたその小学校の卒業生たちが、お祭りをきっかけに定期的に飲み会を開くようになったことです。つながりを作れたことがうれしくて、それまでの大変さが吹き飛びました。

自分が携わったイベントやワークショップを通じて、誰かが少しでも変わったり、影響を与えられると感激します。僕は、ドキュメンタリー制作合宿に参加した高校生が、参加前後ですごく意識が変わっているのを見てうれしくなりました。初日は「親に言われたから来た」みたいな態度だったのに、4日目には「街のためにプロジェクトを起こしたいから、相談に乗ってほしい」と言ってきたメンバーも。参加者とは今でも連絡を取り合っていて「こんな街づくり活動をしている」と報告をもらうこともあります。高校の先生たちも「またやってほしい!」と喜んでくれるし、変わるきっかけになれたのなら、やってきた甲斐があります。

人とのつながり、という点では私も同じですね。
ゼミで地元のお祭りに出店させていただくとき、最初は周りも「新参者が来たぞ」という感じでよそよそしいのですが、準備段階から当日、後片付けまでの間に、自分たちから積極的に挨拶をしたりお祭りについて質問したり、コミュニケーションの機会を作ることで、お祭りが終わったときにはすっかり打ち解けられるんです。「次はこんなお祭りがあるから、また参加してよ」「来年も待っているからね」などと誘っていただけると、喜んでいただけたのかなとうれしくなります。
また「小平市発祥のブルーベリー」などと発信しながら売っていると、「地元発祥だったんだね」「教えてくれてありがとう」と声をかけられることもある。そんなささいな交流があるだけで、小平市のことがまた好きになります。

Q4 活動で得たものを、今後どう活かしていきたい?

唐津、白岡のプロジェクトを通じて成長したのは、コミュニケーション力です。お年寄りから子どもまで幅広い年代、職業の方と触れ合う機会があり、自分から積極的に話しかけられるようになりました。
活動中は、地域の方との目線合わせやゴール設定が大変で、投げ出したくなることもあったのですが、しばらく行かないと「みんなに会いたい!」とうずうずしてくるんです。唐津は縁もゆかりもない地域だったけれど、今では第二、第三の故郷のよう。友達でも家族でもない、年の離れた仲間ができて、農業や漁業など全く知らなかった仕事の世界を知ることができました。大学卒業後は、地域活性とは直接接点のない業界に進みますが、白岡市は私の地元とも近いのでこれからも関わっていきたいと思っています。

来年から1年間、大学を休学して唐津市に移住します。学生団体での活動中に市議会や市役所の方とつながりができ、「高校生向けの教育プログラムづくりに携わってほしい」とオファーがありました。年間でできることは限られているけれど、地域の方々が自走する仕組みづくりができたら、僕が行く意味があるかなと思っています。“教育”というと硬くて変えるのが難しいイメージがありますが、楽しいテーマパークみたいに、自由にのびのび学べる機会をつくりたいです。

もともとは観光の仕事のためにスタートした地域の活動ですが、地元の方と交流したり、地域活性化センターの方と出会ったりする中、地域の魅力を発信する方法はたくさんあるなと思えるようになりました。公務員でも民間でも、視野を広げて将来を考えてみようと思うきっかけをもらえたと思っています。知らなかった地域に足を運ぶだけで、それまでなかった視点で世の中が見えるようになる。これからも、いろいろな場所に出かけていきたいです。

まとめ

「知らない地域だったけど、行ってみたら大好きになった」「全国のいろいろな場所に、また会いたい人ができた」という言葉が印象的だった、今回の学生インタビュー。
実際に足を運び、地域の魅力を五感でとらえてみる大切さに気づかされました。

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