インタビュー隊員インタビュー
Vol.93 三重県鳥羽市【現役隊員】 - 上田 茉利子 さん 海女に憧れる都会の女性が見つけた自分らしい暮らし
Q1. 地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
私は大学卒業後、広告代理店で12年サラリーマンをしていたのですが、その暮らしは楽しくないものでした。どうせ一度の人生なら好きなことを仕事にしたいけれど、いきなり脱サラするのも怖いし…と煮え切らない思いを抱えて過ごしていました。
その頃は磯で遊ぶのが大好きで「これが仕事にならいいな…あ、それなら脱サラして海女になるのは?」そう思いつき、「海女 募集」とか「海女 求人」とネットで探していました。
しかし、そんな求人はほとんどなく「海女になるなら漁師の嫁にでもなるしかないのかも…」と思っていたところ、鳥羽市内の石鏡町に地域おこし協力隊として移住し海女になった大野愛子さんを知り、海女になれる手段の一つに地域おこし協力隊があることを知りました。
大野さんとは違っていきなり海女になれる契約ではありませんでしたが、地域に認められることで海女漁もできる場合があるということだったので、「これは人生を変えるチャンスかもしれない」と思い、応募しました。

憧れの海女さんがすぐそこにいる町、それが石鏡。
Q2. 日々の活動内容や嬉しかったこと、大変だったことを教えてください。
・嬉しかったこと
私の石鏡での仕事は、一言でいうと町のブランディングです。石鏡の海女や漁師の獲ったものをどうしたら高く売れるようになるか?そうした思いから、料理教室の企画や地元の大漁旗をデザインした商品パッケージ、石鏡らしさを表現するブランド名を考案してきました。その過程で地元の方から「ええやんか!」と認めてもらえた時は嬉しかったです。
また、漁業権を取得したので今年から念願の海女漁に参加できる見通しです。地元の皆さまのお力添え、また行政のご協力のおかげで、移住8ヶ月でここまでこられました。やっとスタート地点に立てたのですが、まだまだこれから。きちんと獲物が獲れるか分からないので言うのもナンですが、一人前の海女になり更に他の収入源を確保できるようにしていきたいです。
・大変だったこと
私の家まで鳥羽の市街地から車で20分はかかります。終バスは20時位。以前、飲んで帰ろうとタクシーを使おうとしましたが、もう捕まらないということで地元の宿に泊まったこともあります。飲んで帰ることができないのが少しストレスに感じます。
〈ある一日の行動〉
7時起床⇒8時20分市役所登庁⇒仕事・打ち合わせなど⇒7時15分終業⇒買い物などして18時帰宅⇒19時晩酌⇒23時30分床に就く

地元漁師の大漁旗をデザインしたノベルティ用のバックのサンプル

大好評の海女料理教室を定期的に開催していきます
Q3. その町の魅力について教えてください。
なんといっても海がキレイです。私は海が好きで、海女になりたくて石鏡に来たので、海がすぐそばにある暮らしは一番の魅力です。
また、石鏡はとても純粋な人が多いように思います。かつては巡航船でしか上陸できない町だったからか、擦れていない感じでしょうか。ピュアな人が多いのは、都会で駆け引きばかりしてきた私には嬉しい驚きでした。

大漁旗が美しい石鏡の漁港

新年の弓引き神事。昔ながらの神事を大事にすることで、住民同士の絆も深くなる
PROFILE / 三重県鳥羽市【現役隊員】 上田 茉利子 さん(2019年3月掲載)

- 年齢
- 35歳
- 着任年月
- 2018年7月
- 出身地
- 千葉県
- 前職
- 広告代理店勤務
- 地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをお願いします。
- 私は海女になるためにこの制度を利用しました。なんとなくこの制度を使って移住すると、地域おこし協力隊によくある「町と行政の板挟み」になってしまいがちだと思います。ご自分の人生に何がプラスでマイナスか、目的意識や自分の軸などをハッキリと持って臨まれるのが良いのではないかと思います。また私の地域のように、町と行政がうまく連携が取れている地域か確認するのも大事かと思います。