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田舎暮らし特集

withコロナを考える 実現できる新しい働き方

コロナ禍でリモートワークを推奨する企業の増加も追い風となり、都市部で働いていた人が地方で今まで通りの勤務を続けられるケースが増えています。
都市居住にこだわる意識は以前よりも低くなり、いままで憧れていた田舎暮らしや地方移住、二地域居住を考えるきっかけにもなっています。
今回は、コロナをきっかけに働き方を見直したフリーライターの大村さんに、移住に踏み切るまでと、現在の暮らしぶりを赤裸々に語っていただきました。

移住者さんPROFILE

名前 大村佐和子 さん
年齢 27歳
出身地 山梨県甲府市
東京都
在住期間
9年
居住地 山梨県富士河口湖町
前職 エディター(出版社)
現職 ライター(フリーランス)
家族
Instagram @sawoasis

Q1

今どこに住んでいる?
仕事内容は…

今は、山梨県富士河口湖町に住んでおり、フリーランスでライターをしています。
2020年末までは、東京の出版社で「ウィメンズヘルス」というデジタルメディアのエディターをしていました。女性の体と心の健康に関する情報を発信しているウェブ媒体で、運動やウェルネス、ファッションなどさまざまなカテゴリの記事を担当し、企画提案、取材、撮影、原稿執筆などを行うのが仕事でした。もともと文章を書くことを仕事にしたかったので、今年1月にフリーランスのライターに転向しました。

Q2

なぜ移住しようと
思ったの?

「今わたしが本当に求めている
モノ・コトは?」
と問いかけたとき、心に浮かんだ答えは…

大学入学を機に山梨県甲府市から上京し、東京での暮らしをしばらく楽しみました。2年程経ったとき、一人暮らしの自宅にいてもどこか気持ちが落ち着かず、都内や鎌倉などで引越しを繰り返し、居心地のいい場所を探すように。卒業後、出版社に就職し、やりたいことを仕事にできたことで目前のタスクに全力で取り組む日々。「落ち着かない気持ち」はだんだんと見て見ぬ振りをするようになっていきました。
そして昨年、コロナの影響で仕事はテレワークに。自分のことを考える余裕が少しできて、「今わたしが本当に求めているモノ・コトは?」と自身に問いたところ、心に浮かんだ答えは、「気持ちいいと思える場所で暮らしていく」。自宅にいる時間が増えたことで、住環境が自身の心と体に与える影響の大きさを改めて実感。山の麓で育ち、土の上を裸足で駆け回って育った自分には、そうした環境が身近にあることが必要だと気がつきました。

最大の懸念点は、やっぱり仕事。
移住したら何かを手放さなければならない、と思っていました。

東京での仕事は日々新しいことの連続でやりがいがあり、人間関係も良好。好きな場所も気の許せる友人も在り、不満は何一つないのに、今ある幸せを手放して本当にいいんだろか?とその後何度も自問自答しました。最大の懸念点は、やっぱり仕事。フリーランスで生計を立てられる自信は皆無だったので、はじめは山梨の企業で就職先も探しました。
でも、いずれはフリーランスでライターをやりたいと思っていたので、夢が早めに叶った!と思うことに。不安=やらない理由にはならないし、窮地に追いやらないと、いつまでたってもやらないタイプなので、もう覚悟を決めました(笑)。
河口湖町に拠点を定めてから、フリーランスとして活動を開始。日頃、自分の仕事や日記的なものをSNSにアップしていた甲斐あってか、友人知人、過去に一緒に仕事をした方からSNS経由で執筆の依頼を受けて、現在はライターの仕事を継続できています。

移住したら何かを手放さなければならない、と思っていました。
でも、実際は、心地いい環境や挑戦したい仕事など(もちろんおいしい食材や水も!)、得られるモノ・コトが多く、この選択をしてよかったと思います。

Q3

その地域を
選んだ理由は?

湖と山が近い、都心へのアクセスがいい、夫と自分の実家の中間地である、この3つが河口湖町を選んだポイントです。
夫婦で登山やキャンプが好きなので、そうした趣味を充実させられるところが第一条件でした。1ヶ月に一度は仕事で東京に出るので、都心へのアクセスの良さも必要不可欠。河口湖駅からは新宿・渋谷までの直通バスも通っていますし、車だとたったの1時間半で着くので利便性も魅力です。
また、今後子育てのことを考えると実家から近い方が何かと安心。夫は神奈川県相模原市、わたしは山梨県甲府市が実家なので、どちらにも行きやすい地である今の場所を選びました。

住み始めて分かったことですが、河口湖町は外から来た人にもオープンに接してくれる方が多いように感じます。引越して来たのはコロナの感染が拡大している時期でしたし、地域のコミュニティは警戒心も相まって閉鎖的になっていることを予想していました。
でも、近所、そして立ち寄るお店の方もみんな優しく声をかけてくれたり、周辺事情を教えてくれたりするので、人との繋がりに感謝しつつ、とても安心して暮らせています。

Q4

思い立ってから
移住までの期間は?

約半年です。Uターンしようと思ったのは2020年4月くらい。仕事も部屋探しも、やろうと思えばいつまででもできるので、年内には必ず実行に移すと決めました。
はじめは一人暮らしのつもりでいたので、のんびり準備をしてましたが、結婚することになり、2人の住まいを探さなきゃいけない!となったのは10月中旬。
そこからは、急いで休日を使い山梨へ部屋の内見に行き、気に入ったマンションの一室を購入。11月中旬には引っ越すという怒涛の追い込みをしました(笑)。
それでも妥協したことは1つもないので、人の助けがあってこそですが、やればできるんだなぁ、と思い出深い体験になりました。

Q5

ON/OFFの
過ごし方は?

平日は、食事の時間以外は基本、朝から晩まで仕事をしています。自宅にいることが多いですが、集中できないときや気分を変えたいときは、近くのカフェや実家に行き、環境を変えながら仕事をしています。
休日は、車で県内や長野の山へ行ったり、自宅から20分のスキー場でスキーをしたり、体を動かすことがほとんど。河口湖から車で1時間圏内には八ヶ岳や朝霧高原、昇仙峡といった遊び場がたくさんあるので、山登りをして、昼寝をして、温泉に入って、というコースが鉄板です。

Q6

移住して
どんな変化があった?

以前の暮らしに比べると、生活リズムが圧倒的に整いました。
東京に住んでいたときは、終電で帰宅して、コンビニで軽く食べられるものを買って、シャワーを浴びてすぐに寝るのが常でしたが、河口湖周辺は飲食店が閉まる時間も早いですし、冬は極寒で体が冷えます。
今では19時には食事をして、ゆっくりお風呂に入り、日付が変わる前に就寝するという自他共に認める健康優良児。心身ともに健やかになると、仕事の生産性も上がり、イライラすることも減るので、健康度は確実にアップしたと思います。

3月からは、念願だった畑もスタート。
山梨県内にある祖父母の畑を使わせてもらえることになり、試行錯誤しながら野菜を育てています。完全なる初心者なので、分からないことは家族や近隣の農家さんに聞いたり、本やネットで調べつつ、新しい知識と経験を得る喜びをかみしめています。
いつかは友人を畑に呼んで、一緒に収穫した野菜と果物をおいしく食べるのが目標です。

Q7

移住先の
コミュニティは?

コロナの影響もあり、友だちはまだあまり増えていませんが、近所の居酒屋のオーナー夫婦や、ふらっと立ち寄ったスナックのママ&マスターは、あっという間に仲良しに。
相談事をしたり、食材をおすそ分けしあったり、自分の“居場所”は以前より増えたと感じています。どんなコミュニティに属すときも、はじめはこちらから扉をノックしてみることが大事。相手にされなかったらどうしよう?と躊躇していたら、素敵な出会いを逃してしまうばかりだと、移住して改めて実感しています。
河口湖町や周辺の富士吉田市は移住者も多いですし、今後は共通の興味を持っている人やお店の門戸を積極的に叩くと同時に、自分もオープンマインドでいるよう心がけたいと思っています。

二地域居住、移住を
考える人へメッセージ

「ここだったら望んでいる暮らしができるかも」と思ったら、あまり考えすぎずやってみるのがいいと思います。 住む場所や環境も、一度経験するまで自分の肌に合っているかは判断できないですし、行ってみて発見することの方が圧倒的に多いというのがわたしの実感です。 働き方や暮らし方も多様になり、これまでの常識はもはや非常識。なにかに縛られることなく、本当に求めるモノ・コトに素直に従ってみると、その先におもしろい学びがあるんだと思います。

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