- 田舎暮らし特集
- 家族と将来を見据えて

30代の多くのビジネスパーソンが、“キャリアアップ”を図る中、大きな“キャリアチェンジ”に踏み出した中楯さん。唐突な転職だと思われがちですが、旅館業への興味は、学生の頃からあったのだといいます。
「21歳のころ、趣味のバイクで日本全国を回っていたんですが、あるとき暴風雨によりテント泊ができなくなってしまったんです。そんな中、逃げ込むように泊まった一軒宿のご夫婦が、泥まみれでお金もない自分に、ご飯から洗濯まで誠心誠意、対応してくれて…。『旅人を迎え入れ、送り出す』ご夫婦のあたたかさに触れ、目の前にいる人を喜ばせるってなんて素敵で尊いことだろうと心から思ったんです。今の仕事への強い興味はそこから生まれましたね」

星野リゾートを選んだのは「宿泊にまつわるすべての業務を学べ、将来独り立ちできる可能性を感じたから」。具体的には、客室清掃、夕食サービス、キッチン(調理)、フロントの4種類をローテーションしながら学んでいきます。
「34歳から新しいことを覚えるって難しい」と苦笑しつつ、お客様にダイレクトに関わる業務形態は刺激に満ちているといいます。「どんなに素晴らしい施設、部屋があっても、サービスする人間が好感を持たれなければ意味がない。お客様に泣いて喜ばれることもあれば、ちょっとした心配りが足りず注意を受けることも。緊張感はありますが、反応がすぐ返ってくるのはうれしいですね」