- 田舎暮らし特集
- 家族と将来を見据えて
千葉県・流山で育ち、畑や田んぼに囲まれ子ども時代を過ごした中楯さん。自分の子どもを同じような環境で育てたいという気持ちは、もともと強かったといいます。
「いまの流山は開発が進んで都市化しているのですが、昔は森が多く、友達とカブトムシをとったり、木登りをしたりと自然が遊び相手でした。娘が生まれ、元気に走りまわるようになった2歳ごろから、彼女が好奇心の赴くままに動き回れる環境に移りたいなと強く思うようになりました」
奥さんとは地元のバイト先のピザ屋で出会い、結婚。移住前は流山でアパート暮らしをしていました。看護師として多忙な日々を送る奥さんと共働き夫婦だったふたり。平日の9割は外食、お金は使いたい放題だったそうですが、中楯さんの転職と家族の移住、彼女が仕事をやめることで、稼ぎが半分になり生活環境は激変します。
それでも、中楯さんと育った環境が近く、奥さんも自然が大好きだったことから移住には賛成だったそう。
「星野リゾートに転職したいと言ったとき、妻は『いいんじゃない?』と俄然、前向きでしたね。『緑に囲まれた暮らしができそう』とうれしそうでほっとしました」
一方、難航したのは義理の両親への説明。まったく未経験の旅館業に、34歳からチャレンジすることへのリスクを問われ、「たじたじでした」と苦笑します。
「義父からは厳しい言葉をけっこうもらいました。『君はいつまでも夢見る青年だな』なんて言われてしまって…。でものちに妻から話を聞くと、孫と会えなくなることへのさみしさが一番大きかったみたいです。いまも娘が会いに行くと表情がイキイキするので、娘の元気な顔をみせに、ちょこちょこ遊びにいきたいですね」