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田舎暮らし特集

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2.島根との出会い、移転

地方に目を向けたきっかけ

大学4年間で何とか食っていけるようになる!と学業以外に全精力をそそいでいた尾野さんですが、「とにかくラクして卒業したい」という思いから選んだゼミが、その後を大きく左右することになります。

「卒論がない、という理由で選んだゼミが、偶然、『地方の産業振興』を研究するところでした。地域おこしの分野で有名な関満博(せき みつひろ)教授に連れられ、地域活性を命がけで取り組む人たちに出会う日々。『学生なのに起業しているなんておもしろい!』と過疎地活性化のさまざまな活動の場を見せてくれる人も多く、地方をより身近に感じていきました」

島根県との出会い

島根県川本町に初めて訪れたのは、地域研究を本格的に学ぼうと大学院に進学した年の夏。商店街の街並み再生プロジェクトを研究材料として見学したことがきっかけで、「エコカレッジ」本社移転の話が一気に動いていきます。

「プロジェクトを進める方から『川本町に唯一あった書店がなくなってしまったのだが、書店を何とか再生できないだろうか』という声があがりました。それを聞いて、ふと思いつきで『過疎地の再生実験として、うちのインターネット書店を移転したらいいかもしれない』と話したんです。そうしたら、役場や商工会やNPOの人たちが一斉に『ぜひやろう』と乗り気になってしまって(笑)。周囲の後押しの波に乗って、3か月後の2006年10月には移転が完了していましたね」

移転して感じた地方のメリット

移転にあたり、まず驚いたのは家賃の安さ。本の保管が必須なビジネス形態だけに、それは重要なプラス要素なのだそう。

「家賃は東京の100分の1。計算すると、1冊の保管コストは1か月1円です。どんな本も10年保管すれば価値があがるので、安価で置き続けられる環境はとても大切なんです。古書はお客様から直接買い取りしたり、神保町の東京古書会館で開催される古書市場に行って、1日に4000冊もの本を落札したり、全国から取り寄せています。保管しているのは、常に12万冊、重さにして90トン!移転したからこそ、在庫の心配をせず本の種類も多くそろえられ、お客様のニッチなニーズにもこたえられる古書店ができたのだと思います」

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  • ※2013年8月執筆

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