インタビュー隊員インタビュー
Vol.88 茨城県笠間市【現役隊員】 - 柳澤 明 さん 任期短し肥やせよ畑
Q1. 地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
前職の広告会社を早期退職し、「地方で暮らす」ことを考えていた時に、地域おこし協力隊の制度を知った。
年齢制限がなかったこと、妻の実家に近いこと、副業で都内にも月数回通う必要があり、都心から1時間ほどの距離であることから、笠間市の協力隊に応募した。もともと、自分が前職で身につけたスキルを活用しながら生活することを想定していたため、ある程度の規模の地域でないと難しいのではとの思いもあった。また、地域活性化の事例として古書の街として有名なイギリスのヘイ・オン・ワイに視察に行ったこともあり、できれば文化的な基盤のしっかりした地域で活動をしたいと考えた。笠間市は、自分の希望する条件を満たしているエリアであることが応募のきっかけである。赴任前の不安については、特に感じたことはない。
竹林の整備(里山の整備の支援)
笠間のワイン-Mahoro Nova 2018-(ブランディングの支援)
Q2. 日々の活動内容や嬉しかったこと、大変だったことを教えてください。
農業振興の担当であったが、テーマは自由に探してよいとのことであったため、活動が非常にやりやすいことを、まずありがたく感じた。初期は、農業公社のホームページで生産者の紹介をするコーナーのプランニングや取材などを担当したが、おかげで生産者の方々の考え方や経験に裏付けされた知恵に触れることができ、その後の活動で大いに役に立った。その中で出会った、ワイン用ブドウの栽培に取り組んでいる方や、特徴ある椎茸を作られている方の事業の立ち上げやブランディングのお手伝いを中心に活動している。プランから実施まで直接関われ、やりがいのある活動であるが、結果もダイレクトに出る。個人の貴重な経営資源(お金以外も)に直接影響を与えているという自覚を問われていると思っている。日本有数の栗の産地であることから、栗の蜂蜜採取のため養蜂に取り組んだが、群れを維持できず、生物を取り扱うことの大変さを身を以て知った。
養蜂作業(蜂の検分)
笠間ワイン祭り(企画・実施)
Q3. その町の魅力について教えてください。
茨城県は古くから「常陸国」と言われ、暮らしやすいエリアであったことが窺える。その中でも、笠間市には、まちとしてのハーモニー、バランスの良さを感じる。現在手伝っているワインの葡萄畑がある斜面は、奈良時代末期創建と言われている神社の参道脇に開けており、縄文土器も出土する小高い丘に登ると、田園風景の先に小さなショッピングモールの屋根が見える。その先にはなだらかな山々が連なり、「里山都市」とも言えるこの景色は、日本の都市が調和ある発展を遂げた一つのモデルケースではないかと思える。日本三大稲荷の一つと言われる笠間稲荷神社や、日本最古と言われる菊まつりがあり、笠間焼の陶芸家をはじめとして、およそ200人に一人がアーティストとして活動している。この土地柄がもたらす人柄の良さは、もちろんであるが、人々のネットワークの重層的な豊かさが、まちの魅力を形作っていると感じる。
ワイン畑からの風景
ワイン畑 収穫作業
PROFILE / 茨城県笠間市【現役隊員】 柳澤 明 さん(2019年3月掲載)
- 年齢
- 60歳
- 着任年月
- 2016年4月
- 出身地
- 埼玉県さいたま市
- 前職
- 広告代理店勤務
- 隊員になってよかったことは?
- work as life に向かって活動できること(work life balanceという考え方は問題があると思っています)