Interview隊員インタビュー

Vol.39 鳥取県八頭町 - 渡邊 萌生(もえ)さん今、自然と共に生きる営みを受け継ぐ

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

私は、大学時代は発展途上国や国際協力について学んでいました。青年海外協力隊の募集を控えた卒業間際、東日本大震災に遭い、海外に向いていた目が日本の現状に向くようになりました。

卒業後、「田舎で働き隊!」に応募し、鳥取県智頭町で初めての田舎暮らしを経験。村の方々と接する中で、山や川を生活の一部に利用する営みが、今でも当たり前に続けられていることを知り、大きな刺激を受けました。また同時に、その「営み」を受け継がれなければならない時期にきているという危機感を感じ、「受け継ぐなら今しかない。その仕組み作りをしていこう」と考えました。

地域おこし協力隊は、「田舎で働き隊!」の活動期間に出会った知人(後に同期隊員となる)に紹介され、自分の想いが表現できると感じた「八頭町地域おこし協力隊」に応募しました。

代官山にて、「風のマルシェ」はじめ鳥取の野菜を販売しています。売り子をしながらお客様に鳥取暮らしを日々伝えています。

代官山にて、「風のマルシェ」はじめ鳥取の野菜を販売しています。売り子をしながらお客様に鳥取暮らしを日々伝えています。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

活動のメインとなるのは、生活圏でもある「志子部集落モデル化事業」においての特産品開発や交流体験事業の企画提案を行うことです。そのため、集落の方々と日々対話を繰り返し、素材をみつけ、商品化につなげることを考えています。

それと同時に、地域の特産物を売る販路づくりも始めています。初めは、1人のお母さんと数人の若手農家で始めた生産者グループ「風のマルシェ」ですが、鳥取県内で行われるイベントでの対面販売やお試し宅配便を通じて、たくさんの方と知り合うことができました。

また、「風のマルシェ」を立ち上げたことによって、これまで生活をしてきた東京の知人とも協力可能な形がとれるようになりました。新しいオリジナルの販路に、八頭町内の様々な野菜や特産物をのせて、地域のPRにつなげていきたいと考えています。

風のマルシェは、風のように鳥取県内のイベントに出没中です!

風のマルシェは、風のように鳥取県内のイベントに出没中です!

ある一日の活動
5:30 [ワラビ採りなど朝仕事] → 6:50 [田んぼの水見] → 7:20 [朝食] → 9:00 [集落の方への聞き書きなど] → 12:00 [昼食] → 13:30 [役場にてイベントの企画書や案内文作成] → 17:00 [田んぼの水見] → 18:00 [夕食] → 19:30 [風のマルシェ会議] → 22:00 [帰宅] → 24:00 [就寝]

Q3.実際に八頭町に暮らしてみた印象を教えてください

実際に田舎に暮らしてみた当初、「まるで海外にきたみたい…」という印象を受けました。まさに文化が違う、環境が違う、生活のリズムが違う。

田舎では自然の中で人の生活が営まれ、1年間無事に生活ができるように四季折々考えられた生業というものがありました。私は、豊かな自然の中で生活を送ることができる反面、土砂崩れや大水の被害が間近にあるということも知りました。

ただ、最も危険だと感じていることは、都会のコンクリートや様々なシステムに守られていることが当たり前の環境で育った、自分自身のこうした自然災害に対する危機感が相当薄れていたことです。

朝5時ごろからワラビ採りに行きます。ポイントを教わりながら、足腰の強いおじいさんの背中について山を歩きます。家に戻ると、おばあさんが乾燥ワラビをつくったりしています。

朝5時ごろからワラビ採りに行きます。ポイントを教わりながら、足腰の強いおじいさんの背中について山を歩きます。
家に戻ると、おばあさんが乾燥ワラビをつくったりしています。

Q4.今後の目標を教えください

一つは、現在手掛けている野菜の販売事業を軌道にのせることです。野菜をただ届けるだけでなく、この野菜がどのような場所でどんな人が作っているのかを知っていただくために、県外から県内へ、町外から町内へお客様に来て頂くこと、野菜が鳥取に人を招待する手段になるようにつなげていきたいと考えています。

また人を受け入れる体制づくりとして、現在移住場所兼活動地域である志子部集落を人が泊まれる場所として、ひとやすみできる田舎として地域の方と共に機能させていくことも目標です。私自身の目標は、集落の方に何度も教えていただきながら手仕事を習い、手仕事を受け継ぐこと、また、地域に入ることで可能となる人や資源に焦点をあてたローカルツアーの企画やガイドとして活躍の機会をつくっていきたいです。

志子部にて。てまひまのいることでなかなか作られなくなった「かまやき」作りをしています。毎年6月15日に食べられたという、地域にとっても懐かしい一品です。

志子部にて。てまひまのいることでなかなか作られなくなった「かまやき」作りをしています。毎年6月15日に食べられたという、地域にとっても懐かしい一品です。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

地域おこし協力隊の働き方は本当に様々なので、どの地域に入っても、自分がどのようなことをしたいかという考えを持ち、任地先の方へお伝えすること、また任地先の求める内容をしっかり聞くことが大切だと思います。

また、居住区域や活動区域の地域の方との関係づくりは何より大切なことだと感じているので、しっかりと時間を費やして認めてもらう努力をすることが大切だと思います。

何も知らないところへいきなり飛びこむことは非常に勇気のいることですが、時間に余裕があるのであれば、ぜひ一度、希望地域の役場を訪問したり、同世代の方などに率直な意見を聞きながら、仲間づくりをすることをお勧めしたいです!

志子部で美味しい野菜はなんですか?と聞いた時、村の人は皆さん「きんかいも!」と言います。(きんかいもは方言でジャガイモのこと)今年は集落の方とともにジャガイモ栽培圃場をつくっています!

志子部で美味しい野菜はなんですか?と聞いた時、村の人は皆さん「きんかいも!」と言います。(きんかいもは方言でジャガイモのこと)今年は集落の方とともにジャガイモ栽培圃場をつくっています!

PROFILE / 渡邊 萌生(もえ)さん

渡邊 萌生(もえ)さん
年齢
24歳
着任年月
2012年4月2日
出身地
東京都
前職
田舎で働き隊!
隊員になって良かった事は?
さまざまな地域の活動団体と関わりを持つことで、鳥取の魅力あるすばらしい場所や取り組みを知ることができること

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