Interview隊員インタビュー

Vol.56 熊本県和水町 - 古川 寛さん地方の良さに気づいてもらうための仲介人

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

きっかけは二点あります。

一つは前職の広告代理店で営業に出た際に、地方という場所に触れ、人も環境もいいのになぜこんなにさびれてるのかと感じたこと。そこから少しずつ地方へ目を向けるようになりました。もう一つの理由は、海外旅行をした際に、日本のいいところを聞かれたのですが、うまく答えることができなかったこと。自分が思っていた以上に、日本を知らなかったということを知るきっかけとなり、日本をもっと知りたいと思うようになりました。

この二つの理由から、日本のこと、地方のことを調べたり考えたりするようになり、まだまだ地方に埋もれている日本の良さを盛り上げる役に立つことはできないかという考えに至りました。そうして動いている中で地域おこし協力隊を知り、応募しました。

草刈りだってバリバリやります。爽快感がたまらん! 住民は面倒がりますが(笑)

草刈りだってバリバリやります。爽快感がたまらん! 住民は面倒がりますが(笑)

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

地域おこし協力隊という名前で動いているものの、実際に地域おこしとはどういうものなのかがよく分からないなと感じることが多々あります。

また自治体と住民がそれぞれ感じている危機感には、大きなへだたりがあると感じています。メディアなどで少子化や高齢化、過疎化の問題が取り上げられ、地方はもう弱り切っており、ダメなんだというイメージが植え付けられていますが、それが自治体には危機感を、住民には諦めを抱かせる結果になっているなと感じます。そういう押しつけられた価値観を払しょくすることこそ、地域おこしなのではないかと考えてます。

そのためには多くの人と話し、我々よそ者が楽しんでいる姿を知ってもらうことが大事だと思っています。

都市と農村の交流時の梅ちぎり体験。

都市と農村の交流時の梅ちぎり体験。

ある一日の活動
10:00 [役場で一週間の打ち合わせ] → 12:00 [昼食] → 13:00 [地域の方との打ち合わせ・お手伝い] → 18:00 [夕食] → 19:00 [自宅で書類作成など]

Q3.実際に和水町に暮らしてみた印象を教えてください

関西出身の私から見ると九州は南国で暖かい場所というイメージでした。

しかし実際に来てみると、昼夜の気温差が大きく、温度以上に寒く感じるということを知りました。人については、前職で九州の方とも交流があったので、大きな驚きはなかったですが、ムラ社会というのも地肌で体感できたのは良い経験になったと思います。

きちんと誠意をもって、一生懸命に努めれば、しっかりと受け入れてくれる人の温かさは、私の求めていた日本人像と一致し、とても感動したのを覚えています。

間もなく任期終了になりますが、多くの方に残ってほしいと言われるのは、本当にありがたいことだと思います。都会ではなかなか見つけづらい自分の居場所というものが、本気で入っていけば田舎でなら見つけることができるということは素晴らしいことだと思ってます。

熊本県和水町の和仁川の桜。

熊本県和水町の和仁川の桜。

Q4.今後の目標を教えください

今は、任期後に向けて、起業するための準備に明け暮れています。そのため地域おこしの方は、少し控えめになってますが、任期後も続けていきたいと思ってます。

任期後は、地域の農作物を販売する企業をやっていく予定です。安心安全でおいしいだけでなく、健康にも役立つという+αをきちんと明示できるように、起業と並行して特許出願の準備も進めています。これらの要素をもって、農家さんを支え、農業でも食べていける社会を作れたらいいなと思ってます。自分自身が田舎に来て、食の大切さに気付かされたということもあり、それを軸に都会の人たちにも、気づいてもらえるような動き方をしていきたいと思っています。

日本の農家さんは、技術力も高くとても真面目なので、そういう人たちが脚光を浴びる仕組みを生み出していたいなと思ってます。

ムラの営農組合のお手伝い。初めてのことばかりでしんどいよりも楽しかった。

ムラの営農組合のお手伝い。初めてのことばかりでしんどいよりも楽しかった。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

地域おこし協力隊として活動していくうえで、何よりも「思いと熱意」が大事だと思います。

協力隊が入るまでは、よそ者という刺激のなかった社会なので、こちらもその覚悟をもって入らなければ、ムラ社会では受け入れてもらえません。また自治体の方も住民同様、その土地で生まれ育った方がほとんどなので、民間のよそ者の考え方についていけないこともあります。そういう時に自分を支えてくれるものは、自身の中にある思いだけなので、それがないと心が折れます。また田舎を十分に楽しむ、というくらいの心の余裕がないと自分を追い込んでしまい、同じく心が折れます。

その他にもいろいろと注意する点はありますが、大きなところで言えば、この二つだと思います。この国とご自身の未来のために頑張ってください。

写真でしか見たことのないような風景をたくさん見ることができました。

写真でしか見たことのないような風景をたくさん見ることができました。

PROFILE / 古川 寛さん

古川 寛さん
年齢
37歳
着任年月
2012年4月
出身地
奈良県
前職
広告代理店企画 営業職
隊員になって良かった事は?
地域の住民や他の地域の協力隊など多くの人と知り合えたこと。

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