Interview隊員インタビュー

Vol.79 東京都三宅島三宅村   -   木村 美砂 さん島ぐらしの「リアル」を島外に伝えたい

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

2016年2月開催の「三宅村島ぐらし体験事業」に夫と参加し、島に1週間滞在しました。荒涼とした冬の生活を体験して、春の島をもう一度感じたいと思い5月に再訪しました。その帰りがけに2月にお会いした方と偶然再会して、私たちのことを覚えて下さっていたのですが、それがきっかけとなり、たまたま募集中だった求人について夫に連絡をいただきました。
20年以上サラリーマン生活をしてきた夫でしたが即座に応募し、その年の10月には三宅島に移住をしました。人生の転機とはまさにこのこと。周囲も驚きましたが、何より私たち自身が一番驚きました(笑)。その後、島ぐらし体験事業でお世話になった村役場の方から、地域おこし協力隊の移住・定住分野で人材を募集しているお話を伺い、少しでもお役に立てればと思い応募しました。

2016年2月に参加した「三宅村島ぐらし体験事業」。この時には、まさか移住するとは夢にも思わなかったのでした・・。

2016年2月に参加した「三宅村島ぐらし体験事業」。この時には、まさか移住するとは夢にも思わなかったのでした・・。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

三宅島への移住を検討いただくために、まずは島の日々の暮らしやイベントを広く知っていただきたいと思い、Facebookページを開設し「三宅島Days」と題して情報発信を続けています。また、島の多様な仕事と働く人々を紹介するために「三宅Style」というインタビューも行っています。
島ぐらしと聞くとゆったりしたイメージを持たれるかもしれませんが、実際は、仕事でもプライベートでも「個」の主体性が求められ、そして忙しい日々です。でも、その分やりがいがあるし、自分が必要とされているのも実感できます。こうした島ぐらしの「リアル」を、できるだけ多くの方のお話を伺いながら島外にお伝えしたいと思っています。また年数回開催の「島ぐらし体験事業」のスタッフとして、参加者の皆さんのサポートをしています。様々な人生経験を聞くことができ、毎回勉強になります。

「三宅Style」インタビューは毎回2時間近く行いますが、皆さんの島に対する想いは熱く、あっという間に時間が過ぎます。

「三宅Style」インタビューは毎回2時間近く行いますが、皆さんの島に対する想いは熱く、あっという間に時間が過ぎます。

ある一日の活動
10:00 Facebookページ用記事執筆・投稿→11:00 村役場にて打合せ→14:00 「三宅Style」インタビュー・写真撮影→16:30 帰宅後、インタビュー文字起こし→17:30 終業→17:30 夕焼け撮影

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

ずばり「東京の島」ということです。離島のイメージはなく、船だと竹芝まで約6時間30分かかりますが、飛行機なら調布まで約50分で行くことができます。島民の皆さんも頻繁に行き来をします。
ほどよく都心が近くにありながら、火山が生み出すダイナミックな光景や、見渡す限りの大空と海原を毎日見ることができ、通勤ラッシュもなく、仕事も遊びもいきいきとできる。人口は約2,600人と決して多くないですが、ゴミゴミしていないからこそ聞こえる「音」や見える「風景」がそこにあります。
漁師さんも農家さんもいるので地産地消できるし、商店もあるし、通信インフラも充実しているし、生活の不便を感じることはなく、ないならつくってみよう、とクリエイティブになれるのも新鮮な変化でした。便利すぎる生活って、実はつまらないかもしれないですよね。

今年8月には2年に一度の「富賀神社大祭御神輿渡御(とがじんじゃたいさいおみこしとぎょ)」が開催。島内5地区を巡りました。

今年8月には2年に一度の「富賀神社大祭御神輿渡御(とがじんじゃたいさいおみこしとぎょ)」が開催。島内5地区を巡りました。

一日たりと同じ夕焼けはなく、撮影する人、ランニングの途中で立ち寄る人、おもむろに集まってきます。至福の時間です。

一日たりと同じ夕焼けはなく、撮影する人、ランニングの途中で立ち寄る人、おもむろに集まってきます。至福の時間です。

Q4.今後の目標を教えてください。

三宅島では「島ぐらし体験事業」実施前から「島コン」を実施したり、農業、漁業の研修生育成事業を各団体で実施しています。
「移住」と聞くと永住するかのような重さを少し感じてしまうかもしれませんが、間口と裾野をさらに広げて様々な切り口から「島ぐらし」がスタートできるようになったらいいなあと思います。
また何より、島ぐらしをしてみたい方々に島の魅力や伝統をお伝えし、まずは島を理解しながら島民の皆さんとともに暮らすことの大切さをお伝えできればと思います。
移住した先は、ただパラダイス!なのではなく、意外にどこで暮らそうと日々の生活は普通なものだと思います。その「普通」の積み重ねが、やがてじわりと喜びにつながる、そんな島ぐらしのエッセンスをお伝えできるようになれたらと思います。

8月に開催した「第5回島ぐらし体験事業」では、島内で求人中の事業所と参加者をつなげる相談会を初めて実施しました。

8月に開催した「第5回島ぐらし体験事業」では、島内で求人中の事業所と参加者をつなげる相談会を初めて実施しました。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

赴任先で急に新しいことをするのではなく、まずはその土地の風土や歴史、人をよく知ることが大切かと思います。少子高齢化や労働人口の減少など、今日本各地で起きている事象は都会も地方もあまり関係なく、どこでも同じです。今暮らす場所に連綿と受け継がれてきたものや途絶えてしまったものをもう一度見つけてみると、意外にヒントが隠されている気がしています。
「地域おこし協力隊」という名称には、未だに慣れないのが正直なところです。「地域をおこす」というよりは「地域を探検してみる」といった感じで、日々さまざまなお話を聞き、発見を重ねている毎日です。その中に宝物はたくさん眠っているので、今度あの方に会ったらもっと聞いてみようとか、人とモノ・コトをつなげていけるようになれたらこの仕事の意義があるのかなと思います。

「島ぐらし体験事業」短期コース参加の皆さんを港で見送り。見送りにはいつもドラマがあって、つい涙腺が緩んでしまうことも。

「島ぐらし体験事業」短期コース参加の皆さんを港で見送り。見送りにはいつもドラマがあって、つい涙腺が緩んでしまうことも。

PROFILE / 木村 美砂 さん

木村 美砂 さん
年齢
47歳
着任年月
2016年11月
出身地
埼玉県入間市
前職
映像製作
隊員になって良かった事は?
島で暮らす方々と、島ぐらしに興味がある方々と両方のお話をたくさん聞けることです。島でご縁がつながっていく喜びを日々感じています。

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