Interview隊員インタビュー

Vol.61 福岡県八女市 - 森 庄(たいら)さん「Think Globally, Act Locally!!」

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

今までの人生で学んできたことを通じて、人間の都合を優先する結果あまりにも自然環境が蔑ろにされている事に疑問を持ちました。

経済論理に追い込まれた各国の企業群は、地球環境を度外視した生産活動に日々邁進し、人々は「お金がない」という切迫した生活事情からインスタントで安価な製品を買い求め続けて、或いは日々の糧をそうした産業への勤勉な従事という形で、裏支えしている様に感じます。

今、先進国で当然のように享受されている生活を全人類に行き渡らせるには、地球2個分の資源が必要だという試算も出ており、可能な限り自然の恵みを活かした持続可能なライフスタイルへの転換が必要だと感じました。

集落の至る所に美しい棚田と茶畑が広がるのどかな農山村。八女茶発祥の地とされ、茶栽培600年の歴史があります。

集落の至る所に美しい棚田と茶畑が広がるのどかな農山村。八女茶発祥の地とされ、茶栽培600年の歴史があります。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

今の田舎の人、技術、資源は「今」活かして継承しないとあと数年で消失するものがたくさんあるし、失ってから簡単に取り戻すことは出来ない、価値の高いものだと思います。

無農薬合鴨農法を実践する農家、丁寧に植樹や下草刈りを続けて森林を育てる活動を行っている団体、匠の技で森林資源を魅力的な製品に変える木工職人などと連携し、地域の文化を次世代へ繋ぐ為に地域資源を活かした新しい商品を生み出したり、イベントをプロデュースして活動の普及・啓発を図りたいと思っています。
9月に予定している「木育キャラバンin笠原(えがおの森)」では、イベントを通じて奥八女・笠原という地域を知ってもらい、木のおもちゃを通じて森とのつながりを感じてもらえればと思っています。

環境にやさしい米づくりや豊かな生態系の森づくりを通じて農山村の里山環境を保全することを目的とし、20年以上の活動を続けている「山村塾」という団体と連携し、都市農村交流や環境保全活動のお手伝いをしています。

環境にやさしい米づくりや豊かな生態系の森づくりを通じて農山村の里山環境を保全することを目的とし、20年以上の活動を続けている「山村塾」という団体と連携し、都市農村交流や環境保全活動のお手伝いをしています。

ある一日の活動
6:00 [起床、朝の散歩] → 7:00 [朝食、家で仕事と頭の整理、事務所へ] → 9:00 [デスクワーク] → 12:00 [お弁当タイム]  → 13:00 [プロジェクトに関わる関係各所を訪問、打合せ] → 17:00 [子供会のソフトボールチームを指導] → 19:00 [今日を振り返りながら夕食] → 21:00 [帰宅、Facebook発信など] → 24:00 [就寝]

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

広い八女市の中でも奥八女・笠原地区は、H24の九州北部豪雨により大きな被害を受けた地域であり、ただでさえ過疎化が悩みの農村に大きな追い打ちをかけました。

実際に移住してみると、災害前に比べ1割程度の住民は離村し、一気に10年程度の過疎化が進んだという危機的な状況でありながら、残っている地域住民はたくましく復興と仕事に励んでおり、非常にタフな人達が多いというのが印象です。豪雨や地震などの自然災害はこれからも度々人間に牙を剥くでしょう。水源や食糧を生み出す場が無く、電気のシステムに大きく依存する大都市で、大量の人口が助け合いながら災害を克服出来るでしょうか。自立した生活と助け合いの精神の両立を目指し、生きる力を農村の人々に学びたいと思っています。

H24九州北部豪雨災害により被災した「きのこ村キャンプ場」を再生させるプロジェクト。地域団体とサポーターで協力して周辺環境を作っています。

H24九州北部豪雨災害により被災した「きのこ村キャンプ場」を再生させるプロジェクト。地域団体とサポーターで協力して周辺環境を作っています。

Q4.今後の目標を教えてください。

農山村で自然に寄り添って暮らすことが豊かで、かっこいいという価値観を広めることが目標です。

不便でいろんな手間がかかっても、「なんかアイツら楽しそうにやってるな」「自分もちょっと一緒にやってみたいな」と思われる様な、楽しく豊かな暮らしを実践し提案したい。 物とかお金とかをたくさん溜め込んでも手に入らない、今を生きている充足感や満足感を家族やトモダチみんなと共有したい。

あと僕は名前にも縁があるけど森が好きなので、森を想い、森を愛する人が増える様なきっかけづくりや仕組みづくりを仕掛けようと思っています。

自然環境豊かな地域でのびのびと育っています。清らかな水と空気に育まれ、素直で純粋なこどもたちです!

自然環境豊かな地域でのびのびと育っています。清らかな水と空気に育まれ、素直で純粋なこどもたちです!

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

移住して田舎で生計を立てることは簡単ではありません。特に家族を持っている人は、家族の相当な理解と度胸が必要です。新天地において移住者の立場で派手なことはやりにくく、かと言って黙っていれば誰かが何とかしてくれるものではありません。

3年で起業出来るのか? 田舎に就職先はあるのか? 自分の子どもに満足な教育を受けさせてあげられるのか? ネガティブ思考は考えればきりがありません。でも本気でやれば、それが何であれきっと周りに気持ちが伝わって、協力者が現れると思います。

ぜひ地域や社会貢献活動、環境を守る活動が大量生産大量消費大量廃棄のシステムに依存するライフスタイルより価値が高いと認められ、自己満足ではなく賃金を含めた社会的評価の高い世の中になってほしいと願います。興味がある方はぜひご一緒に。
Think Globally,Act Locally!!

集落の至る所に美しい棚田と茶畑が広がるのどかな農山村。八女茶発祥の地とされ、茶栽培600年の歴史があります。

PROFILE / 森 庄(たいら)さん

森 庄(たいら)さん
年齢
34歳
着任年月
2013年9月
出身地
岡山県
前職
商社 営業職
隊員になって良かった事は?
今の地域のフィールドとニーズを背景に「自分が好きなこと・やりたいこと」が明確な人との繋がりが拡がり、おもしろい連携プレーが生まれています。みんな本音で本気だから、展開が早い。八女・奥八女は本当に人も自然もいいところです。これからがますます楽しみ!

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