Interview隊員インタビュー

Vol.64 広島県安芸太田町 - 奥田 圭佑さん「雇用されるだけが人生じゃない」

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

東日本大震災の被災地にボランティアに行かせていただいた時に、あれだけの災害にもかかわらず強い精神力の東北の方々と接して、田舎の方が生きていくうえで生活力があると感じたのがそもそものきっかけでした。ただし、他の方のように「社会に貢献したい!」等の強い思いがあった訳ではなく「田舎に暮らしてみたい」ということが始まりで。

しかし、田舎暮らしをするにしても当然仕事は必要な訳で、そうこうしているうちにJOINのサイトに遭遇。たまたま当時は、西日本の採用地域が安芸太田町だけであったこと。なおかつ、募集内容が「農家レストラン開業につき調理師募集」というものであったため応募。面接を受けてダメだったらまた考えようという様な単純な動機からだったと思います。

豊かな自然の中、安芸太田町名産の「祇園坊柿」で有名な寺領地区にて、「農家レストランZIRYO」をオープンしました。

豊かな自然の中、安芸太田町名産の「祇園坊柿」で有名な寺領地区にて、「農家レストランZIRYO」をオープンしました。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

担当地域には高齢化率100%という所もあり、何かイベントをするにしても、みなさんの負担が大き過ぎます。また、一人暮らしの高齢者が多いこの地域。どうしても食生活が偏ります。そんな中「一緒に食事をしませんか?」という企画を地域の方が喜んで下さいました。月1回のペースでしたが、「食事会を楽しみにしとるんよ!」という声をいただくようになりました。そこから「お米を作ってみたい」という私の願いが叶い集落での田植えがスタート。皆さんから技術を教えていただき、また住民さんは教えることが出来る(自分たちもまだまだ役に立つ)という所が感じられたようで、双方にとって田植え~稲刈りまでの作業は有意義な時間であったと思います。

町内で行われるイベントに積極的に参加。得意分野の料理に腕を振るい、側面からイベントを盛り上げています!

町内で行われるイベントに積極的に参加。得意分野の料理に腕を振るい、側面からイベントを盛り上げています!

ある一日の活動
6:00 [起床・朝食] → 7:00 [地域サロンの準備(昼食作り] → 11:30 [サロン食事会(高齢者主体] → 15:00 [一人暮らしの高齢者安否確認&御用聞き 要望があれば買い出し等] → 18:00 [夕食作り(地域の方と一緒に]  → 21:00 [就寝]

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

田舎・過疎地域と言えど、広島市中心部まで車で1時間。またインターネット環境も整備されていますので、不自由を感じません。

それよりも「空気が良い・ご飯が美味しい・星が綺麗」など普段の生活が贅沢な程。また都会と違い「地域の見守り・お互いさま・すれちがいざまの挨拶」等の地域コミュニケーションが残っており安心して暮らしていけます。これぞ日本人が忘れている道徳の部分ですね。ですから、個人とかプライバシーを重視される方には向いていません。「郷に入れば郷に従え」でこちらが合わせていかなければいけません。

ここだけ見ると一見大変そうですが、一度受け入れていただければこれほど強い味方はいません!非常に人情味あふれる町です。お店のOPENに際してもそうでした。また、他県の協力隊が苦戦している「クラウドファンディング」も募集期間を短く設定していたにもかかわらず、お陰様で無事に、目標金額を達成しました。これも人情味あふれる当町が故です。

安芸太田町で開催される名物のウルトラマラソンの「しわいマラソン」毎年ボランティアでエイドステーションのスタッフを地域の方と楽しんでいます。

安芸太田町で開催される名物のウルトラマラソンの「しわいマラソン」毎年ボランティアでエイドステーションのスタッフを地域の方と楽しんでいます。

Q4.今後の目標を教えてください。

ひとまずお店(農家レストラン)をOPENすることは出来ました。まずは軌道に乗せて行くことが当面の目標(課題)であり、その後は雇用を生み出していきたいと考えています。

前述で触れた「クラウドファンディング」にも〈子供たちに雇用の場を!〉というサブタイトルをつけました。子供たちが地域に残る場合、現状では職業の選択肢が少ないのです。このお店がその選択肢に入っていけるよう、また雇用されるだけが人生ではないという考え方も持ってくれれば嬉しいですね。それともう一点。このお店にご来店いただき、この町を気に入っていただき「Iターン・Uターン」に繋がっていけばこのお店の存在価値もあると思います。今後も引き続き、町内産品を活用・PRしながら営業していきます。

農家レストランからの眺め。春には有名な「与一野のしだれ桜」をみることができます。この癒しの里山を大切にしていきたいです。

農家レストランからの眺め。春には有名な「与一野のしだれ桜」をみることができます。この癒しの里山を大切にしていきたいです。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

このサイトをご覧になっている方にアドバイスをするほど私は立派な人間ではありません。ただ自分の人生を楽しんでいるだけです。ですからアドバイスというより私の考えを書かせていただきます。

田舎に若者がいない!ということは、それを逆手に取れば若者にチャンスが転がっています。東京・大阪等の都会暮らしは便利で快適です。それは認めます。ただし、首都直下地震・南海トラフ地震・はたまた富士山の噴火等、日本列島に住んでいる以上災害からは逃れられません。もちろん当町でも土砂災害の危険性と隣り合わせの生活です。でも、いざ有事の際に物が無ければ、お金はただの紙屑になってしまうと思います。  
そんな時こそ強いのは、お米・野菜・魚等の食材を扱っている田舎の地域です。オール電化・水洗トイレ等の現代の暮らしも停電・断水してしまえばアウトです。ですがそんな時でも薪でお米を炊いたり・畑に行けばトイレもOKの田舎暮らしの方が生きていくうえでは強いと思います。

最後になりましたが、読んでいただいた方が悔いのない人生を過ごしていけることを願っています。

地域の方と恒例行事のお食事会。楽しい時間に毎回笑顔があふれます。みなさんからいつも元気をいただいています。

地域の方と恒例行事のお食事会。楽しい時間に毎回笑顔があふれます。みなさんからいつも元気をいただいています。

PROFILE / 奥田 圭佑さん

奥田 圭佑さん
年齢
32歳
着任年月
2012年11月
出身地
大阪府牧方市
前職
かに専門店にて調理師
隊員になって良かった事は?
隊員になってというより、この地域に移住し、多くの方にご協力いただいたことにより、漠然と描いていた「自分のお店を持つ」という目標が一つ達成出来た。

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