Interview隊員インタビュー

Vol.63 岡山県高梁市 - 長野 エドウィン・タケルさん「自称:ラテン系地域おこし協力隊」

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

生まれ故郷のコスタリカ共和国と岡山市が姉妹都市ということ、また祖先が岡山県井原市出身ということで、岡山県には元々縁を感じていました。
子どもが生まれ、育児や仕事、将来のことを改めて考えたとき、自然豊かな場所で暮らしたいという思いが強くなり、縁のある岡山県への移住を考えはじめました。

井原市や周辺地域で移住先を探していたところ、高梁市のホームページで初めて地域おこし協力隊のことを知り、これなら3年間でビジョンも描けるかな~と、その場ですぐに応募してしまいました。今思えば安易な考えだったのかもしれませんが、大きな決断となりました(笑)

「マンガ絵ぶた祭りPRパレード」市外からの参加者も加わり高梁市川上町元祖レジェンドゆるキャラ「あ・く・ま・で・も・きじ丸の被り物」をして町を練り歩いた。普段はきじ丸の中の人としてイベント等活動もしており全国放送に2度の出演も果たしました。気になる方はググってみてください。

「マンガ絵ぶた祭りPRパレード」市外からの参加者も加わり高梁市川上町元祖レジェンドゆるキャラ「あ・く・ま・で・も・きじ丸の被り物」をして町を練り歩いた。普段はきじ丸の中の人としてイベント等活動もしており全国放送に2度の出演も果たしました。気になる方はググってみてください。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

折角の田舎暮らしですのでまっさらな心持ちで、なるべくフィールドワーク(特に最初の一年は地域外活動を多く行いました)重視の活動を続けてきました。

地域では毎年一回の竹伐りイベント(地域×学生×移住者×行政)を3年間行っており、退任後の来年度も開催を予定しています。単に地域に喜ばれるだけではなく、歴史や文化、そして暮らしなど、「経験と学び」を多く得られるので一石二鳥の取り組みです。また担い手不足により滞っている里山資源を活かし、特産品開発にも携わり、「銀杏だれ」の商品化を行いました。地域外活動も最初の一年は特に多く、多国籍応援団くらしき(倉敷市)の応援団団長として川上町の福祉イベントに参加したこともあります。3年間すこしづつ関わってきた事がようやく実り、現在は「弥高こんにゃく」の担い手として活動しています。

「銀杏だれ」は県農業普及指導センターが主催で毎月開催される「6次化ふぇ」において、地元で噂のこんにゃくおばちゃん(郷土料理店主)にお願いし開発された。現在、備中高梁駅前にある観光案内所、東京都銀座にて販売中。

「銀杏だれ」は県農業普及指導センターが主催で毎月開催される「6次化ふぇ」において、地元で噂のこんにゃくおばちゃん(郷土料理店主)にお願いし開発された。現在、備中高梁駅前にある観光案内所、東京都銀座にて販売中。

ある一日の活動
6:00 [起床] → 6:30 [朝食] → 7:00 [車でJR備中高梁駅へ移動] → 7:30 [吉備国際大学学生(チームおこしメンバー)ピックアップ] → 8:30 [車で国吉城址到着]  → 9:00 [竹伐りイベント開催] → 12:00 [昼食] → 13:00 [後半戦スタート] → 15:00 [イベント終了] → 16:00 [車でJR備中高梁駅へ到着解散] → 17:00[帰宅] → 18:00[夕食] → 19:00[動画編集作業] → 20:00[Facebookページ更新作業] → 21:00[就寝]

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

家族での田舎暮らしは初めてで、都会では見ることができないような風景が当たり前に広がっていることに感動しました。高梁市川上町「弥高山」は360℃雲海が見渡せ、天気のいい日には南は瀬戸内海、北は鳥取県の大山が望めます。その一方でこの地域が限界集落、消滅可能性都市と呼ばれ、急激な過疎化が進んでいるなんて信じられませんでした。

そこでは今も尚、里山の伝統や暮らし、資源が受け継がれていますが、若者はほとんどいません。地域が失い残したものとはいったい何だったのかと考えさせられました。

私は当初から「自称:ラテン系地域おこし協力隊」として地域活動だけではなく、消防団(操法大会出場)、児童学習支援ボランティア、伝統行事などにも積極的に参加をしてきました。そして活動を通じて「元々の暮らし」だけで完結していることが問題であり、そこに「移住者の暮らし」「他所の暮らし」を繋げることが一先ず大事であると考えました。排他的なイメージなどがどうしても残る地域で、3年間寄り添って支えてくれた数少ない若者グループやこんにゃく農家のおばちゃんたちと最初から最後まで変わらず良い関係が築けたことに感謝しています。

多国籍応援団くらしきの活動。「川上町地域を元気にする福祉イベント会場」において、ダブル団長で地域にエールを送った。

多国籍応援団くらしきの活動。「川上町地域を元気にする福祉イベント会場」において、ダブル団長で地域にエールを送った。

Q4.今後の目標を教えてください。

私は現在、「弥高こんにゃく」農家の担い手としてこんにゃく栽培を始めており、そのこんにゃくを活用したハンバーガーなどを提供する「こんにゃくカフェ」(H27.12月プレオープン予定)の開業準備をしています。

どこにでもあるようなただのこんにゃくではありません。この地域だからこそ誕生した美味しい里山の味を世界へ広めていく事が私の新たな仕事になります。地産地消から地産“他”消への取り組みに興味がある方は百聞は一見にしかず。是非、一度高梁市へいらしてください。

着任間もない頃の写真。地域のこんにゃくおばちゃんと一緒にイベント出店用や販売用のこんにゃくを作っている。

着任間もない頃の写真。地域のこんにゃくおばちゃんと一緒にイベント出店用や販売用のこんにゃくを作っている。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

振り返ると毎日が理想と現実に折り合いをつけていく日々でした。活動に対して、地域はどうしても主体性があるかないかや成果を求めてきます。自分の信念とすこしずつ育まれていく人との絆を信じて、地域外へ目を向け主動的な活動をしていくのが良いのではと思います。

後に繋がらない活動は絶対にありません。ただ、活かすも潰すも自分次第という見えないプレッシャーは、真面目にやればやるほど底知れない怪物のようになって襲い掛かってきます。あまり気負いせずと言いたいのですが悔しい想いや辛い想いをしないと本当の意味でのビジョンは描けないと私自身は感じています。貫けば手にするものが大きいです。Facebook利用しているので気軽にメッセージにご連絡ください。お返事が遅れるかもしれませんがお手伝いできることがあればうれしいです。

協力隊新聞の発行や地域イベントへの出展など、活動を知ってもらえるような取り組みを行った。

協力隊新聞の発行や地域イベントへの出展など、活動を知ってもらえるような取り組みを行った。

PROFILE / 長野 エドウィン・タケルさん

長野 エドウィン・タケルさん
年齢
36歳
着任年月
2012年9月
出身地
神奈川県鎌倉市
前職
瓦せんべい焼き菓子職人
隊員になって良かった事は?
3年間で一番良かった出来事は3人目の子どもの誕生です。次に任期後のビジョン「こんにゃくカフェ」起業が描けたことがとても良かったことです。

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