Interview隊員インタビュー

Vol.52 高知県高岡郡四万十町 - 土谷 卓郎さん皆と一緒に、アイデアを形にしていく喜び

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

民間企業の営業として毎日働くなかで、自分が頑張ることが本当にお客様の役に立てているのか、社会から見て純粋に有意義な事だと言えるのかという疑問を感じるようになりました。

どうにかしてお金を稼ぐのではなく、もっと純粋に人の役にたてる仕事がしたいと思っていた時、知人からのアドバイスで「地域おこし協力隊」という制度を知りました。総務省のホームページなどを調べ、これしかないと思い立ってから着任までに要した時間は3カ月程でした。

急な話になったこともあり、家族や友人に信じてもらうまでは時間がかかりました。正直なところ、勢いだけで実家を飛び出しましたが、今となってはこのタイミングと期間でなければ動けていなかったと思います。

四万十川のシンボル「沈下橋」。夏には元気いっぱいに子供たちが川へ飛び込む様子が見られます。

四万十川のシンボル「沈下橋」。夏には元気いっぱいに子供たちが川へ飛び込む様子が見られます。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

町からのミッションとして、担当地区の小学校跡地の活用策を地域の方と一緒になり模索しています。定期的に会を開き、活用策以外にも地区既存イベントのブラッシュアップや、地域に眠る資源を活用した新たなイベントの企画実施などを行ってきました。

最近では、地区を流れる川の生き物たちを守り、管理し、さらにはその資源を活かしたまちづくりにつなげられるように、乱獲などに対する啓発看板を作成設置したところです。

現在は、毎年11月末に行われる伊勢海老をメインに打ち出した「ふるさと祭り」をブラッシュアップし、地区外への発信の強化や、交流人口の増加を目指し、新たに商品開発等を進めております。話合いを行うたびに生まれるアイデアを、住民の方々と一緒にひとつずつ形にしていくことに大きなやりがいを感じています。

定期的に開催している志和活性化協議会の様子。たくさんのアイデアが生まれています。

定期的に開催している志和活性化協議会の様子。たくさんのアイデアが生まれています。

ある一日の活動
8:30 [登庁] → 午前 [事務作業] → 13:00 [看板設置に向け土木事務所との打ち合わせ] → 15:00 [役場にて事務作業] → 18:00 [担当地区の活性化協議会開催] → 21:00 [退庁]

Q3.実際に高岡郡四万十町に暮らしてみた印象を教えてください

高知県はおろか、四国にも足を踏み入れたことがなく、「清流四万十川」以外に具体的なイメージはまったくありませんでした。

四万十町で暮らし始めて、とにかく食べ物が美味しいことに感動しました。恥ずかしながら、この歳になって初めて見るものやクチにするものがたくさんあり、初めて耳にする言葉(方言)と相まって、着任当初の懇親会は毎回パニック状態でした。

しかしながら、町民のお酒好きで明るい気質に救われ、たくさんの仲間もできました。また、山川海の雄大な自然に囲まれ、いつも新鮮な気持ちで毎日を迎えることができます。生活面での不便も特になく、人、自然、生活の利便性すべて踏まえ「暮らしやすい田舎」、「手の届く田舎」といった印象です。

担当地区最大のイベント。地区の特産品である伊勢海老を求め、町内外からたくさんのお客さんが来訪されます。

担当地区最大のイベント。地区の特産品である伊勢海老を求め、町内外からたくさんのお客さんが来訪されます。

Q4.今後の目標を教えください

大きな目標はミッションの達成です。住民の方々の想いを吸い上げ、形にすることです。

来年度には、着任当初から進めてきた地域資源の活用を、本格的な事業に押し上げられるよう準備を進めていく予定です。それを軸に、学校跡地に建設予定のコミュニティーセンターの運営計画を作成し、28年度には本格的な運営を地区が一体となって行えるようにしたいと思っております。

まだまだ地域全体のつながりや理解も足りていない部分があるので、活動を通して住民同士や、地区と行政とのつなぎ役となり、既存の地区活動のサポートなどもしっかりと行っていきたいと思います。

さまざまな経験を積み重ね、任期後もこの土地でたくさんの人の笑顔や苦労を間近で見ることのできるような仕事創りを目標に頑張っていきます。

担当地区に眠っていた絶滅危惧種の「岩石蘭」にスポットをあて、地区で管理販売を行い、種の保存を目指しています。

担当地区に眠っていた絶滅危惧種の「岩石蘭」にスポットをあて、地区で管理販売を行い、種の保存を目指しています。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

受け入れ自治体により仕事の内容や、求められるものはさまざまです。充実した活動を行うには、あなたの目的と受け入れ側の要望のマッチングが必要不可欠です。とはいえ、着任前からあれこれ考えすぎる必要もないと思います。実際に地区に入ることで、初めて本質が見えてくると思います。

地域に入るには、その場所で感じたことを素直に表現できる能力がとても重要かと思います。まずは今あなたがいる場所から、協力隊になりたいと思った気持ちを素直に表現してみるのが良いと思います。きっと何かが変わります。

一つ変わると二つ三つと変化が起こります。その体験が着任後の行き詰ったときに必ずヒントをくれるはずです。出会うべき人が日本の片隅できっとあなたを待っています。

ひなまつりの時期に合わせ、住民の方を対象に石雛作りワークショップを開催。完成品は地区内各所にみんなで飾りつけました。

ひなまつりの時期に合わせ、住民の方を対象に石雛作りワークショップを開催。完成品は地区内各所にみんなで飾りつけました。

PROFILE / 土谷 卓郎さん

土谷 卓郎さん
年齢
30歳
着任年月
2013年4月
出身地
埼玉県
前職
営業
隊員になって良かった事は?
たくさんの新しい出会いによって、新たな自分に出会えたこと。まだまだ変われる自分に気付けたこと。

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