Interview隊員インタビュー

Vol.51 島根県邑智郡美郷町 - 山本 友紀さん地域に飛び込み、地域を全力で楽しむ

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

田舎生まれの私は、経済発展や合併など様々な要因で変化していく町、そしてその中でいとも簡単に失われていく”その町らしさ”に寂しさを感じながら育ちました。

どこにでもあるような風景、見たことがあるような町並。流行のものがなくて「面白くないから」便利を望み、実際に便利にはなるけれど、一方でなぜか「面白くない」町になっていく。そんな矛盾を感じていました。

大学では過疎地域でのフィールドワークを通して地域づくりについて学んできましたが、如何せん大学が都会にあったので、ギャップを感じつつありました。そして就職活動の段になると、就活サイトには自分の望むような主体的に地域で活動できる就職先が見つからず、かねてからの「地域にもっと飛び込みたい」という希望とあいまって、協力隊として応募することを決意しました。

美郷で初めて神楽という伝統芸能に触れました。意外とユーモアたっぷりで、おなかを抱えて笑うことも!

美郷で初めて神楽という伝統芸能に触れました。意外とユーモアたっぷりで、おなかを抱えて笑うことも!

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

観光協会で町の広報活動に取り組んでいます。

地域資源の発掘から一緒に取り組んでほしい、という募集要項でしたので、経験のない私でも何か面白いことがやらせてもらえるかも、と思って応募しました。そのうえで地元の人が町を楽しんでいる姿を見せることが一つ訴求力のあるやり方ではないかと思いました。

というのも、私が着任した当初、「こがぁななんもないところによく来たね~」と謙遜交じりの言葉を何度も聞いたので、そんな人たちがみんな「美郷はこがぁないいとこだがぁ~」と言うようになることを目的に「地元が地元の一番のファンになる」ということをテーマに据えました。

地域再発見を目的とした「まちあるき」の開催や地元体験プログラム集「みちくさ日和」の作成など、地元の方にも楽しんでもらえる企画を心掛けてきました。

地域再発見を目的に、地元の方と町外の方とに募集をかけ、みんなで美郷のかつての宿場町をカメラ片手に歩きました。

地域再発見を目的に、地元の方と町外の方とに募集をかけ、みんなで美郷のかつての宿場町をカメラ片手に歩きました。

ある一日の活動
8:30 [出勤、メールチェック] → 9:00 [SNSやウェブサイトでの情報発信、新聞記事を書くなど。] → 10:00 [地域の人を訪ねて町内を回ります。] → 12:00 [徒歩3分の自宅か、町内の食事処でみんなでお昼。] → 13:00 [多くの場合、また町内へ出て情報を集めたりしています。] → 15:00 [事務所で整理、地図を作ったり、デザイン作業をしたりすることも。]

Q3.実際に邑智郡美郷町に暮らしてみた印象を教えてください

美郷は中山間地域で海はないのですが、代わりに江の川という中国地方最大の川が流れています。

そんな大河にもかかわらず平野がほとんどなく、川霧を立ち込めながら中国山地の山々を縫って流れる川の姿に、日本の原風景のような印象を抱きました。そして恐ろしいほど四季が濃厚、ということを一番感じています。

生まれが愛媛、大学は福岡でしたので、雪の降る地域に馴染みがなかった私は、西日本は雪は降らないと勝手に思い込んでいました。

ところが島根の冬は真っ白で、特に美郷町は山間の町なので、私にしてみれば雪地帯です。スタッドレスタイヤなんて、初めて見ました。

そんな冬を耐え抜いて迎えた春は桜が美しく、夏には蛍がぶんぶん飛び、江の川が山に映え、秋は紅葉の下で神楽を見ながら夜を更かす日々に涙が出るほど感動しています。

枝垂れ桜の多い美郷町。町のイメージソングも歌いだしが「♪しだれ桜の~」です。夜桜をライトアップしているところも多いです。

枝垂れ桜の多い美郷町。町のイメージソングも歌いだしが「♪しだれ桜の~」です。夜桜をライトアップしているところも多いです。

Q4.今後の目標を教えください

まもなく丸二年を迎える美郷町での生活ですが、まだまだ知らないこともあります。知らない人もいます。今だからこそもっと好奇心を強く持って、情報を足で稼いでいきたいと思っています。

昨年度から始めた地元体験プログラム集「みちくさ日和」の作成ですが、今年はもっとプログラム数を増やすことをひとつの目標にしています。

この各体験プログラムは地域の人が企画・実行者です。広げてきた人脈を活かして、美郷を体験する面白い企画がたくさん作れればと意気込んでいます。

そして、まずは自分自身が前のめりに全力で美郷を楽しんでいきたいと思っています。

今年度は同時に大学の卒業も考えているので、協力隊としての活動と両立しながら達成したいです。

地元体験プログラムを地元の方々と考えるワークショップです。美郷には何があるか、どんな楽しいことが出来るか考えています。

地元体験プログラムを地元の方々と考えるワークショップです。美郷には何があるか、どんな楽しいことが出来るか考えています。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

地域おこし協力隊は、都会で生活していた私たちが地域で活動・表現・創造の場を得られる、素晴らしい制度です。

しかし、それが出来るのは地域という受け皿があってのことで、その点で感謝を忘れることはできないと思います。そして、地域に寄り添う気持ちが大切ではないかと思っています。

やりたいことがスムーズにできる場合もあれば、そうでない場合もあります。いずれにせよ活動の自由度が高いというのはこの制度の一つの特徴のように思います。

また、地域の求める人、目指すビジョンが定まっている場合、共有されている場合、はたまたあいまいな場合、それも千差万別です。自由度が高すぎて何から手を付けていいかわからない、という話も聞きます。隊員、そして地域どちらもが素晴らしい3年間を過ごすためにはある程度の下調べと、できるなら事前の訪問が有効だと思います。

プライベートでは地元の方と田んぼ・畑をしています。暑いし大変ですが、収穫できつつある野菜はとってもおいしいです。

プライベートでは地元の方と田んぼ・畑をしています。暑いし大変ですが、収穫できつつある野菜はとってもおいしいです。

PROFILE / 山本 友紀さん

山本 友紀さん
年齢
23歳
着任年月
2012年8月
出身地
愛媛県今治市
前職
大学生(休学中)
隊員になって良かった事は?
「地域おこし」を漠然と捉えていた学生時代でしたが、地域に飛び込んでみてリアルを感じ、一般の仕事ではなかなかできない“挑戦”を、思いっきりさせてもらったことです。

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