Interview隊員インタビュー

Vol.49 兵庫県南あわじ市 沼島 - 大原 浩さん日本のはじまりの場所を守る仕事がしたい

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

現代の危機の中、今まさに時代が変わろうとしています。日本の島々は、日本列島の小さな縮図であり、在るべき日本の見本になる使命があると感じます。ただ島には、悪い慣習や人間観もあります。しかし、良い部分は並外れて良い。古き良きホンモノが残っていて、地球との距離感を知っています。島人が変化を受け入れ逞しくしなやかに進化することで本当の“本物の豊かさ“を実現できると思います。

私は、「日本のはじまりの場所を守る仕事をしてみないか?」という友人からの言葉と、“時代を創りたい“という自分の思いから、協力隊への応募を決めました。

上立神岩。「古事記」の冒頭で国生みの神であるイザナギとイザナミが契りを結んだ日本で最初にできたとされる場所。

上立神岩。「古事記」の冒頭で国生みの神であるイザナギとイザナミが契りを結んだ日本で最初にできたとされる場所。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

私は、行政や施設のように「待つという消極的な関わり方」ではなく、笑顔、挨拶、草刈りや漁師仕事、地域行事といった地域の現場を誠意をもって動くことで、地域の人を感じ、地域を知り、「地域の人々の中に積極的に向かう行動」の積み重ねを行い、地域おこしに必要な与贈循環の感覚を日々学んでいます。

島の生業である農林漁業の低迷、交通の不便さ、物価、過疎、少子高齢、島の慣習など、本質を知れば知るほど、本題も見えてきます。

そんな中で、何を信じて進むべきなのか、責任をもってその状況を突破できるのか、信念を曲げずにまっすぐ進むことができるのかなど、さまざまなことを考えることがありますが、島の人の地球との距離感や生業、優しさ、思いに直接触れると、それらの悩みが全部吹っ飛んでしまい、その先を信じてみたくなります。

山のてっぺんにある山の大神での祭りの後。灯台がない昔、漁から帰ってくる船の目印にここで火を焚いて目印にしていた場所。

山のてっぺんにある山の大神での祭りの後。灯台がない昔、漁から帰ってくる船の目印にここで火を焚いて目印にしていた場所。

ある一日の活動
6:00 [起床] → 7:00 [地域の手伝い(竹伐り・漁師の仕事手伝い等)] → 8:30 [役場(事務)・観光案内所(観光案内・観光客対応・クルージング対応・カフエお土産営業等)] → 17:00 [消防練習] → 19:00 [役場(事務・お問い合わせ対応)] → 20:00 [手魚舎(イベント)会議] → 22:00 [帰宅]

Q3.実際に南あわじ市 沼島に暮らしてみた印象を教えてください

南あわじ市沼島には、祭りや神事の伝承、神聖な儀式や儀礼の踏襲を伝え、守り抜いていく強い意志があります。ずっとずっと昔の祖先の時代から今日に至るまで、その暮らしの礎を自然と共生して築きあげてきた歴史もあります。そして、自然がもたらす豊かさを生かす生業は、文化となり風土となったのだと思います。

時に成すすべもない大きな力を持つ海や大自然に囲まれ、そこから培われる助け合いの精神、共通認識、共同が、島民の底流にある…とにかくすごいもんはとんでもなくすごいんです!言葉では届かないけれど、とにかく“生ぬるくない“です!

沼島の神事。昔は海を渡ってこないと八幡神社に来れなかったため、だんじりごと海に突っ込みます。

沼島の神事。昔は海を渡ってこないと八幡神社に来れなかったため、だんじりごと海に突っ込みます。

Q4.今後の目標を教えください

「地域おこし」の現場は、それがたとえ小さな事例であったとしても、ひとつひとつの集積と総合化の中から見えてくる“つながりの再構築”、そして“人の在りかた=人間観”だと私は感じます。

地域に残る“古き良き“を温め、“悪循環“を終わらせたいです。そして“新しいアタリマエ”を少しずつ創ること、“触発”や“覚醒”といった一人一人の心に火が点されるような状況を創りだし持続することを日々実践しています。

「本当の豊かさとは?」「美しい日本とは?」の問いに「住めばわかる」そんな答えをもつ場所をみんなでつくっていきたいです。

漁師さんと立ち上げた漁船でのクルージング「おのころクルーズ」

漁師さんと立ち上げた漁船でのクルージング「おのころクルーズ」

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

こんなに広い地球でも、かけがえのない小さな地域とあなたは出逢うことができます。その地域は、世界中に居る沢山の人の中からあなたというたった一人の人と出逢います。

その大切さを忘れなければ、何もできなくていいと思います。難しく考えなくていいと思います。その地域を愛し、あなたが地域の為に行う日々の真っ直ぐな行動は、きっと地域の人の心にのこります。その積み重ねた時間こそが最大の“地域おこし“だと私は思います。

地域おこし協力隊は、自然界でいう微生物や分解者だと私は思います。自然界でも生産者と消費者は見えますが、微生物や分解者は目には見えません。本当に大切な役割は目には見えないのだと思います。それでもあなたの生んだその行いは時間がかかっても必ずいつか還ってきます。

イザナギとイザナミが国生みをした場所。ここで最初に生んだのが淡路島です。

イザナギとイザナミが国生みをした場所。ここで最初に生んだのが淡路島です。

PROFILE / 大原 浩さん

大原 浩さん
年齢
38歳
着任年月
2012年12月
出身地
岡山県
隊員になって良かった事は?
心から尊敬できる人や・共鳴できる人、そんなかけがえのない人たちと出会えたことと、総務省の合宿・サミット・JOIN主催の地域おこし協力隊起業・事業化に向けた研修会等での学びや出会い。地域の現場という最先端で自分自身が大きく成長できていることです。

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