Interview隊員インタビュー

Vol.75 石川県羽咋郡宝達志水町   -   渡邉 有美子 さん「何事も熱くるしい程の熱心さが大事」

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

『「自分の田舎」を自らで見つけ、創っていきたい(生まれた所しか知らずに育つ感覚に日々疑問だった為)』『故郷を自分で作りたい』―この感覚が自分の中で日に日に育ち、それを実行に移せるキッカケになったのが、この地域おこし協力隊でした。
そして、都会で体験出来る事全般、「お金で買える幸福」も一通り経験したことで、「お金で買えない幸福」に興味を持ち、それが【人間同士の魂の触れ合い】にあると気付き、価値を感じていました。
「自分にしか出来ない事」「私でいる事への価値観」・・・そこを確認でき、自分を高め、そして他者と共に「暮らす土地を育てていく」この仕事を見つけた瞬間、自分の中に「楽しみ」という好奇心以外の感情はありませんでした。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

何事も熱くるしい程な熱心な心が大事。地域住民との仲を円滑にする事で、地域の知識や情報を頂け、それがまたアイディアや次の企画に繋げられる。そして自分が「何をしに来ているか」を住民に伝えていくことが非常に大事です。
日本は狭い様で広く、逆もまたしかり・・・皆が「自分の視野」の範囲で生活しています。他県民が急に移住し、地域で活性活動を始めても、先住民は不安になる事もあります。まずはその土地に敬意を払い、土地を訪ね、知る事からかと思います。自分は大阪では一切していなかったSNSを始め、毎日町内の日々を更新していて、最初は0だった閲覧数も、今では平均150人程の方が覗いて下さる様になりました。
そのお蔭で地域の活動にも入りやすくなり、「町おこし」という仕事も認知されていきました。今は町行政の広報誌に、ページを頂きコラムを連載、町のケーブルTVで町内情報番組もスタートさせました♪
やるならとことんやる事で、地域住民の方の不安を取り除けます。その為にも、遠慮はせず、自分自身の言葉で思いを伝える事が必要。 そして「それどういう意味?」と方言を聞き返すと、こっちが思ってる数倍喜んでくれますよ(笑)

ある一日の活動
役場に隣接するカフェを店長として運営。3時に閉店後、翌日の仕込、清掃、仕入れ、入金、事務作業の他、町おこしのメンバーを各所訪問。家に帰り予算の見積もり、POPや会議書類作成、365日更新しているブログで1日の報告など。

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

我が町は田舎、過疎、貧乏な町と言えど、町の両サイドには便利な商業地が多くあり、野菜や米を始め農産物は豊富。そして、金沢などの主要地にも車で30分と立地が良い為に、特に町民が「困っている」感覚が少なく、町おこしという視点では成り立ちにくい土地ではあります。ただ、山、川、海、畑、田んぼ、農場など、景色を変えリフレッシュ出来る場所も多く、自分の中では暮らしやすく良い町という印象です。
出身地である大阪とも、出発&終点の特急電車がある間柄なだけに、私の関西弁や騒がしさにも特に変な先入観も持たれなかった為、自分は比較的スムーズに町民と知り合いになっていけたと思います。

Q4.今後の目標を教えてください。

「地域おこし協力隊」という仕事の確立活動を行って行きたい。
地域おこし協力隊の説明、理解だけでゆうに1年以上はかかりますので、最初からこの制度のネームバリューがあれば、スムーズにいく事が多いのだろうと・・・
協力隊の中でも、個人商店の様な仕事をしている方の多くは感じている事かと思います。「地域おこし」「町おこし」という言葉を定着させ、全国の地域おこし協力隊という仕事をもっと理解して貰う事。それが自身の活動円滑の手段にもなり、後世の協力隊へ渡すバトンだと思っています。
3年が済めば終わり・・・という使い捨ての様な事例や、仕事や家をどうして良いのか解らずに失念し、その土地を離れてしまう人も多いと聞きます。 3年と言う月日は長く、その人個人にとっては貴重な人生の1ページです。なので私は3年の任期後も、この「地域おこし協力隊」のサポートに関わり、もっと沢山の熱意ある若者が田舎に来るキッカケを作り、日本全土の住民バランスが良くなる事をお手伝いしたいです。だってこの制度は、もっと有効利用出来ればほんまに素晴らしい制度なんですから!

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

良い事は山ほどありますが、嫌な事、理不尽な事も多いです。ロールモデルも少ないし、自治体によって活動例が変動する為に、自身の熱意のみが試される仕事でもあります。他県から来た人間が、移住し仕事を始め、地域と溶け込まねばならず、時間はたった3年しか無く、「これで良いのか」「何をすべきか」等、自問自答の時期もあります。・・・ですが田舎に移り、そこで生活基盤を構築して行こうとするならば、そんな事は当然として、情熱があればほぼ何でも乗り越えられます(笑)

地域おこし協力隊はあくまでも「協力隊」であり、地域をおこすのはその土地の方。我々はその土(つち)の人をサポートし、アイディアや経験を武器に協力する風(かぜ)の人です。その2つが一緒になり、初めて「風土」となるのだと思っており、今もその信念を持って活動しております。

出る杭は時に打たれます・・・・が、出過ぎた杭は打てません! むしろ打っても打っても引っ込まない杭でいる事こそが、情熱であり、人を支える力だと確信しております。 

PROFILE / 渡邉 有美子 さん

渡邉 有美子 さん
年齢
40歳
着任年月
2015年8月
出身地
大阪府
前職
ネイリスト
隊員になって良かった事は?
自分の見てきた世界、知っていた世界の視野が広がり、経験値が大幅に増え精神的に鍛えられた事。大阪以外に、母と呼べる人が数名出来た事。

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