Interview隊員インタビュー

Vol.81 長崎県島原市   -   杉山 大介・佳恵 さん ご夫婦夫婦で取り組む地域おこし協力隊

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

きっかけは、JOINのサイトをたまたま見つけたことです。元々『地方の教育』というものに興味があり、机上だけではない教育と過疎地域での将来に向けた教育というものがどのようなものか調べていました。その際に、JOINのサイトを見つけ、地域おこし協力隊という制度に興味を持ちました。
当時勤めていた仕事も、一区切りついいたタイミングで、30歳という節目ということもあり、ここを逃すとなかなか今後身動きが取れないかもしれないと強く思い、チャレンジしてみたいという気持ちを妻に話し、一緒に制度を勉強した後、以前から好きだった長崎へ視察をかけた旅行に行きました。そこで、自然も文化も人も温かい島原に出会い、惹かれ、夫婦で何度も話し合って応募を決めました。

農家さんから山盛りの新鮮野菜をお裾分けしてもらいました。島原は農業大国!安心・安全・新鮮な野菜が市場に並んでいます。

農家さんから山盛りの新鮮野菜をお裾分けしてもらいました。島原は農業大国!安心・安全・新鮮な野菜が市場に並んでいます。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

<大介さん>1年目は、島原市民の皆さんが大切にしてきた思い出の場所『銀水』の再建プロジェクトに参加し、再建と運営を行いました。地元に根付いたお店を再建することは、様々な想いを具現化するという点でやりがいを感じました。
2年目は、長崎県全体の協力隊とタッグを組んでマルシェを開催したり、新たなお土産作りをしたり、移住用のパンフレットを作ったりと、対外的な取り組みを行っています。

<佳恵さん>以前は、「銀水」というお店の接客・運営をメインでしていました。地元の方はもちろん、観光客の方とお話ししたり、メニューの仕込みをしたりしていました。現在は、プロデュースにまわっており、メニューの開発や取材対応等をしています。
他にも、移住促進のために移住フェアに参加したり、お土産開発に取り組んでいます。活動について島原の人はすごく気にしてくれていて、「銀水」で接客していたころは常連のお客さんからすぐに反応があったりしました。前向きな姿勢で取り組むことの大切さを日々感じています。

20年近く閉店していた銀水の再建は、中に残っていた食器の整理から。もちろん、この中の使えるものは食器は銀水で再利用しています。

20年近く閉店していた銀水の再建は、中に残っていた食器の整理から。もちろん、この中の使えるものは食器は銀水で再利用しています。

<大介さん>
ある一日の活動
7:30 起床 → 7:45 朝食 → 8:10 車で庁舎へ移動 → 8:20 庁舎到着 → 8:30 業務開始 → 8:45 会議 → 10:00 視察 → 12:00 うどん屋さんで昼食 → 13:00 国立公園視察訪問 → 16:00 書類整理 → 17:00 退庁 → 17:15 買い物 → 18:00 猫の世話と家事手伝い → 19:00 夕食 → 20:00 釣りに向かう → 20:15 釣り開始 → 22:30 自宅到着 → 24:00 就寝
<佳恵さん>
ある一日の活動
7:00 起床 → 7:30 身支度を整える → 8:30 車で「銀水」に移動 → 9:00 「銀水」にて開店準備 → 10:30 SNSのチェック・その他事務作業(シフト作成等)→ 13:00 昼食(10分程度)、その後接客対応  16:00 → 翌日の仕込み作業 → 17:30 閉店作業後帰宅→ 18:30自宅で夕食 →19:00 趣味の時間→ 23:00 就寝

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

<大介さん>実際に訪れる前は、どれだけ田舎なのだろうと心配していました。しかし、訪れてみると確かに都会に比べれば足りないものもありそうだが、思っていたよりも栄えている、という印象でした。
そして、実際住んでみてもその印象は変わりません。特別な不便も感じません。自然が近くにあり、食が豊かな町です。人々は懐に入るまでは、少し距離を感じることもありますが、今では町内会の人々は本当に優しく親切に接してくれます。情緒を随所に感じることができる暮らしです。

<佳恵さん>移住する以前は、ぼんやりとした田舎像しか持っていなかったというのが本音です。人が優しい、水が綺麗、土地の食材が豊富…そんな印象でしたね。実際に暮らしてみても、そのあたりの印象は変わっていません。衣食住は困らないし、むしろ豊かになりました。
人との交流も一歩踏み込むと、びっくりするくらい心配して構ってくれる。教えたがりな人が多いので困ったときもすぐに解決します。ずぼらな私からするとありがたいです。

熊本大地震のチャリティー募金で島原名物かんざらしを提供。市長も訪問してくれました。

熊本大地震のチャリティー募金で島原名物かんざらしを提供。市長も訪問してくれました。

銀水はメディアにも大きく取り上げていただきました。著名人の方も多数ご来店いただいています。

銀水はメディアにも大きく取り上げていただきました。著名人の方も多数ご来店いただいています。

Q4.今後取り組んでみたいことを教えてください。

<大介さん>あっという間の1年半を過ごし、残りの任期が半分となりました。今は残りの任期で島原に対して自分が何を残せるか、それを模索する日々です。対外的なアピールが島原の課題だと感じているので、そこを残りの任期で取り組み、島原をもっともっとPRしていきたいと考えています。
また、地域の発展には若い世代・子ども力が不可欠です。そのためにも、教育という視点からも積極的にかかわっていきたいと考えています。

<佳恵さん>現在の目標は、①プロデュースする銀水が全国ネットのTV番組に取り上げられること。②移住しやすい街「島原市」をつくるために窓口を整備すること。を目標にしています。
島原市に足を伸ばそう!と思ってもらえるきっかけを増やす→観光客や移住希望者、訪れる人が増える→構いたがりな島原の人間味が活きる。そんな風に、島原の人がもつ良さを活かせる場を増やすことが私の活動目標です。

かんざらしは、島原では家庭の味。家々で味や作り方が違います。銀水のレシピは門外不出だったので、聞き込みと試作の連続でした。

かんざらしは、島原では家庭の味。家々で味や作り方が違います。銀水のレシピは門外不出だったので、聞き込みと試作の連続でした。

島原の新しいお土産を開発。手に取りやすい・かさばらない・もらいやすいをコンセプトに島原らしさをトッピング。

島原の新しいお土産を開発。手に取りやすい・かさばらない・もらいやすいをコンセプトに島原らしさをトッピング。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

<大介さん>協力隊は地方ではまだ認知度も低く、最初の壁や風当たりが厳しいこともあります。また民間と行政では、大きな違いがあり、そこに違和感を覚えることもしばしばあります。
しかし、その中でも協力隊の力を求めてくれている方・理解者も多くいます。その『求められている』という責任感を原動力に取り組むことで周りが少しずつ輪になります。その達成感は、何とも言い表し難い素晴らしいものです。
地方には、そこにしかない魅力がまだまだ眠っています。ぜひそれを掘り起こしてください。

<佳恵さん>私は、私にあった土地に来られたと思っています。美味しい食材が多いから、趣味の料理で気分転換ができる。他地域から嫁いできた島原の友達と悩みを共有できる。自分が気持ちよく生きるのに必要なものが何か、こちらに来て把握することができました。
ただ、初めのころは想像とのギャップもあってストレスもあり、そんなときは、夫がいたことでずいぶん救われました。夫婦で協力隊をすると仕事上でぶつかることもありますが、右も左もわからない土地では相手は唯一の理解者です。ただ、家でも仕事でも一緒になるのでそれぞれで楽しめる趣味はあった方がいいかなと思います。

長崎県の協力隊が集合して行った『地おこマルシェ』は大盛況でした。地方単体ではなく、県として盛り上げる重要性を感じました。

長崎県の協力隊が集合して行った『地おこマルシェ』は大盛況でした。地方単体ではなく、県として盛り上げる重要性を感じました。

移住者用パンフレットを作製しました。移住者目線で知りたい情報を提供することで少しでも参考になれば幸いです。

移住者用パンフレットを作製しました。移住者目線で知りたい情報を提供することで少しでも参考になれば幸いです。

PROFILE / 杉山 大介 さん

杉山 大介 さん
年齢
31歳
着任年月
2016年3月
出身地
愛知県名古屋市
前職
滋賀県にて教育業に従事
隊員になって良かった事は?
地方が抱える問題に直に接することができたところ。そして、地方にしかない強みを知ることができたところ。

PROFILE / 杉山 佳恵 さん

杉山 佳恵 さん
年齢
31歳
着任年月
2016年3月
出身地
大阪府東大阪市
前職
滋賀県にて教育業に従事
隊員になって良かった事は?
関わる人の年齢層が増えたこと。今まで考えもしなかった経験ができていること。関わる人が多様化したことで刺激が増え、想像しなかった経験から自分の常識を部分的にでも壊すことができた。

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