Interview隊員インタビュー

特集Vol.27 静岡県松崎町 大好きな棚田を未来へとつなぐ 棚田を守り、地域資源として生かすために

豊嶋学さん(その1)大学時代に魅せられた「棚田のある風景」その魅力がすべての活動の原動力。

地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えていただけますか。

石部棚田での草取り

石部棚田での草取り

きっかけは大学生時代。恩師に誘われて参加した棚田保全のボランティア活動です。1年生の頃から年に三回ほど松崎町の石部地区を訪れ、農作業の手伝いをしていたんですよ。最初はボランティア活動への参加だけでしたが、何度か石部に通ううちに、すっかり美しい棚田のある景色に惚れ込んでしまって(笑)。気がつけば個人的にも石部を訪れるようになっていたんですよね。それ以来、ボランティアではできなかった田植えや代掻きなどの手伝いもさせてもらうようになり、ますます棚田が好きになりました。

もともと僕は新潟県生まれ。実家が米作りを行っていることもあって、大学卒業後は農業の道に進みたいと考えていました。ちょうど進路を検討している時期に、大学の恩師から石部で「地域おこし協力隊」の募集があるという話を聞き、「大好きな棚田のためにできることがあるのなら」と応募を決めました。大学卒業後の進路としては一般的な選択肢ではなかったので、実は親の反対もありました。ただ、最後は「とにかくやりたいことがあるから」と押し切って(笑)

実際に地域に暮らしてみての印象をお聞かせください。

石部の棚田企画会議

石部の棚田企画会議

学生時代から慣れ親しんだ地域とはいえ、実際に住んでみて初めてわかったことや感じることはたくさんありますね。

たとえば、棚田の保全は本当に手がかかるということ。実家が農家ということもあり、最初は軽く考えていましたが、棚田は作業の機械化も難しいし、ちょっと目を離しただけで水が抜けてしまったりもします。でも、毎日棚田と向き合っていくことで、僕がなぜ棚田にこれほど惹かれるのか、わかった気もします。棚田の背景には、この場所を維持する人びとの営みや手仕事がある。だからこそ、季節ごとの美しい風景が生まれるんだと思うんです。

また、地域が抱える課題や問題も実感しています。住民の高齢化や後継者不足などは、予想以上に深刻です。ただ、若い方が少ない分、みなさんがとても優しくしてくれますね。近所の方に野菜をもらったり、ゴハンを食べさせてもらったり…。棚田の保全についても,熱意を持った人が「棚田交流の拠点になるようなカフェを作ろう」なんて提案してくれます。

次は、実際の活動や今後の展望、これから地域おこし協力隊になる方々へのアドバイスなどです。

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