Interview隊員インタビュー

特集Vol.28 島根県雲南市大東町 神話の中の夫婦のようにここに礎を築く 大東町・塩田の温かい“てご”にいつか恩返しを

三瓶裕美さん(その1)生まれ育った東京を離れ「雲がいずる国」で始めた夫婦生活

地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えていただけますか。

イノシシ料理(10月)お祭りの準備で塩田名物イノシシ料理。地区の猟師さんがとったイノシシです。

イノシシ料理(10月)
お祭りの準備で塩田名物イノシシ料理。地区の猟師さんがとったイノシシです。

東京・大田区の出身で、両親も東京育ち。そのせいか"自然"と言えば「キャンプなどで触れ合えるもの」という認識でした。田舎暮らしの経験もゼロ。

ただ都会での暮らしに、数年前から何か違和感があったんです。はっきりと問題意識が芽生えたきっかけは、小沢健二さんが書いた「うさぎ!」という童話を読んでから。反グローバリズムな内容ですが、すごく影響を受けました。その後、東京で菜園なども含め、田舎的な農ある暮らしを考えながら、「持続可能なまちづくり」などの活動をしていました。もともと日本大学文理学部体育学科出身で、"からだをととのえる"ことを軸に仕事をしていたのもあり、環境や食への興味は強かったんです。

実際に移住という決断へ背中を押したのは、東日本大震災でした。原発の事故や都会での食糧の買占めなどから生き方・暮らし方を根本から考えさせられました。震災前に知り合った現在の夫も「いつかは農業を」と考えていた人。それで一緒に移住先を探し、雲南に決まったのを機に入籍して来ました。

じつは当初は地域おこし協力隊のことは知らず、自然農というキーワードから、偶然島根県に目が向きました。そのとき「くらしまねっと」という島根県のHPのあまりの分かり易さに、移住者への愛情を感じまして……(笑)。その後、いろんな方にサポートしてもらい協力隊を知り、応募しました。

実際に地域に暮らしてみての印象をお聞かせください。

子どもプラン(写真は11月。月1、2回開催)大東小学校に通うようになった、塩田の小学生が放課後集まって遊ぶのをてごしています。

子どもプラン(写真は11月。月1、2回開催)
大東小学校に通うようになった、塩田の小学生が放課後集まって遊ぶのをてごしています。

島根県のことは、出雲大社があるというレベルの知識だった"よそ者"です。それが来てみてまず感じたのは「雲がいずる国なんだ」と思わずにいられない美しい空、水、岩……。神話の舞台になっている場所が、あちらこちらにある。最近は面白くて「古事記」や関連書までも読んでいます。そして今年の3月には、神話にも登場する須我神社で挙式をさせていただいたんです。前例がないことだったのに、大勢の方にお世話いただき、本当に感動しました。

それと薪でたいたお風呂って気持ちいいんですよ。最初は「自分がスモークになる?」ってほど、夫と煙だらけになり、たきつけていましたが(笑)。火をたくのって難しく、でも生きていくために大切な事なんですね。都会では出来なかった火をたくことが出来る暮らしを、ありがたく思っています。

次は、実際の活動や今後の展望、これから地域おこし協力隊になる方々へのアドバイスなどです。

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