Interview隊員インタビュー

Vol.53 茨城県大子町 - 長谷川 美玲さん「地域スポーツ」が広げる新たな可能性

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

高校の山岳部の先輩が、徳島県那賀町で地域おこし協力隊として活動している事をFacebookを通じて知り、面白そうな取り組みだと思っていました。私は地元の大学に進学したため、知らない土地で暮らしてみたいという憧れがあり、JICAの青年海外協力隊に応募したり、日本人学校の採用試験を受けたりしていました。

そんな時に「クライミングウォールのある大子町で地域おこし協力隊を募集している」という情報をいただき、自身のクライミング経験が生かせるのではないかと思い応募しました。

また、両親から「国内であれば安心」と言われていた事も大きな影響となりました。現在では群馬と茨城は北関東道で結ばれ、アクセスが良くなったことも不安材料をクリアにしてくれました。

クライミング元ジュニア日本代表で、世界大会や国体への出場経験があります。来年の国体出場を目指して自分の練習もしています。

クライミング元ジュニア日本代表で、世界大会や国体への出場経験があります。来年の国体出場を目指して自分の練習もしています。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

「広報見たよ」と言ってクライミングウォールを見に来られる方や、学校向けのチラシを見てジュニアクラブに入会する方が多く、紙媒体での広告効果が高いと感じています。クライミングは、新しいスポーツに挑戦したいと考えている会社を退職した方々に受け入れられているので、地域スポーツとして今後サークル活動などに発展していけば良いと思います。

また、少子化が進んでいる地域なので、チームスポーツの練習は難しいのが現状です。そのため、個人スポーツであるクライミングが、子どもたちの活躍する場をさらに広げていくと期待しています。大子町のジュニアクラブは全国的に見ても人数が多い方なので、大会で活躍して、大子町のクライマーはすごいと言われるようにしたいです。

最近では、町内での地域おこし協力隊の知名度も上がってきていて、顔を覚えてもらえていると実感しています。

小中学生のクライミングの指導をしています。

小中学生のクライミングの指導をしています。

ある一日の活動
7:00 [起床] → 7:30 [トレーニング] → 10:00 [車で中央公民館に移動(出勤)] → 12:00 [協力隊事務所で他の隊員と打ち合わせをしながら昼食] → 13:00 [クライミングウォールやみぞで体験講習会を行う] → 18:00 [クライミングジュニアクラブ指導] → 20:00 [クライミング指導者養成講習] → 21:00 [片づけをして帰宅] → 22:00 [読書] → 24:00 [就寝]

Q3.実際に大子町に暮らしてみた印象を教えてください

大子町は年少人口10%以下、高齢者人口35%以上と茨城県内で最も少子高齢化の進む地域です。しかし、実際に暮らしてみると町民の多くがスポーツや芸術に親しみ、様々な場面で活躍していて、とても活気のある町だということが分かりました。

私が住んでいる家の大家さんは、昨年から「頃藤タラメキフェスタ」という自然に囲まれた野外ステージを舞台に、大人から子どもまで楽しめる音楽イベントを始めています。また、トレイルランニングのレース出場を目標にみんなで集まって走ったり、バンドを結成したり、新しいことを一緒に挑戦してくれる仲間もたくさん見つかりました。

べらんめえ調な茨城弁は、最初ぶっきらぼうに聞こえますが、一人暮らしを気遣って下さり、新鮮野菜などを提供して頂くなど地域の方の優しさを実感しています。

大子広域公園で一緒に走っているメンバーで、OSJ安達太良山トレイル10Kに出場してきました。

大子広域公園で一緒に走っているメンバーで、OSJ安達太良山トレイル10Kに出場してきました。

Q4.今後の目標を教えください

大子町にクライミングのジュニアクラブを立ち上げ、現在約30名の小中学生の指導をしています。外遊びの機会が多い大子町の子ども達は身体能力がとても高く、クライミングの素質があることが分かりました。5年後に開催される茨城国体へ、大子町から出場できる選手を育成することを目標に、指導者の養成や練習環境の整備を行っていきたいと思います。

また、クライミングは障がいの有無や年齢に関わらず、全ての人が一緒に楽しめるスポーツであるということをたくさんの人に実感して頂き、大子町における生涯スポーツとしての位置づけを確かなものにしていきたいです。

クライミングを通して、大子町の交流人口の増加も狙っているので、町外のクライミング愛好者へのPRや、学校の授業への導入の提案などもしていく予定です。

新聞に活動を取り上げていただきました。

新聞に活動を取り上げていただきました。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

大子町地域おこし協力隊は、隊員一人一人のやりたいことを実現するために、役場をはじめとした関係機関、団体、地域からの全面的なバックアップのもと、PC・公用車まで用意して頂き、充実した環境を与えてくれます。

福島県・栃木県との県境にある大子町は、四季折々の山の姿や満天の星、温泉が楽しめる自然に満ちた土地です。協力隊の仕事は、まずその土地を好きになることであると私は思っています。自分の感性に合った地域を見つけ、「ここで暮らしていきたい」という決意を持てば、日々充実した生活を送ることができます。協力隊の仕事はその地域によって様々です。まずはあなたも、ぜひ一度大子町に訪れてみてはいかがですか?移住したくなるかもしれません。

保護者とクラブのメンバー、指導者の集合写真です。

保護者とクラブのメンバー、指導者の集合写真です。

PROFILE / 長谷川 美玲さん

長谷川 美玲さん
年齢
23歳
着任年月
2014年4月1日
出身地
群馬県前橋市
前職
総合型地域スポーツクラブNPO群大クラブ
隊員になって良かった事は?
全く知らない土地でも自分の能力を生かして仕事ができること、また共通の趣味や目標に向かって頑張る仲間が見つかったこと、地域・職場の人の支えを実感できたこと。

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