Interview隊員インタビュー

Vol.57 鹿児島県瀬戸内町 - 籾山 育代さん自分が「主役」にならないこと

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください

南の島に憧れてダイビングインストラクターになり島々で仕事をしてきました。

そのうちに30歳を超え長くできる仕事と永住の地を探し始めました。学生時代の友人がいて何度も遊びに来ていた島が魅力的で、そして大好物のパッションフルーツ栽培の研修制度があることを知り農業に興味があったこともあり、移住を決めました。引越しの準備を進めている時、協力隊の募集を知り、3年間は農業をおあずけにして、これからお世話になる島に何かできたらいいなと思い応募しました。

住みたい島に偶然に募集があったことで活動も楽しい充実した期間となりました。

透き通る海で子どもキャンプのみんなに奄美の海を体験してもらいました。

透き通る海で子どもキャンプのみんなに奄美の海を体験してもらいました。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

一番に感じたことは、主役は島民だということ。

何も知らないうちによその者がかき回さないことが大事かと思いました。

地域の現状や何が必要で何をしたいのか、3年間のうちの1年は島民と多くの時間を過ごすことに専念しました。きれいな砂浜がある集落で観光地として盛り上げられたらいいなと自分が思っていても、高齢化が進むその集落ではそっとしておいて欲しいという住民の意見がありました。誰の為の島なのかを考えてみると、長年守り受け継いできた島のひとびとのものであり、自分のものではないことに気が付きました。自分の考えややりたいことはさておき、すべては住民のみなさん主体なんだと思いました。

Uターンして自分の育った場所が人口も減り活気もなくなり、どうにかしたい!と思っている人に出会い一緒に考え一緒に進めていくことができました。地元の方々の繋がりは強く、活動したいメンバーも簡単に集まり今も仲良く頑張っている。みんな島の為何かしたかったんだと気づかされ、自分はホンのきっかけにすぎないが、それが一番で継続的な活動になるんだと思いました。

地元の仲良し女性グループで島の素材を使った無農薬ハーブ茶の製造・販売をしています。

地元の仲良し女性グループで島の素材を使った無農薬ハーブ茶の製造・販売をしています。

ある一日の活動
6:00 [起床] → 8:30 [集落ラジオ放送] [集落回り] [どこかのおばあちゃん宅でランチ] → 13:00 [お茶用葉っぱ収穫] → 15:00 [グループで製茶(18:00まで!)] → 20:00 [日報・ブログ・販売]

Q3.実際に瀬戸内町に暮らしてみた印象を教えてください

最初は圧倒的な自然に魅了されていましたが、そのうちにおばあちゃんたちをはじめとして多くの方々が、想像以上に優しく親切なので島のひとたちが好きになりました。

私は以前から島に何度も遊びにきていて、島の買い物の不便さ、子どもが少ないこと、災害、など生活のことについてある程度知っていたので何の問題もありませんでした。お祭りも楽しい、自然の中での生活は新鮮で鳥の声・波の音、のんびりは全くできないけれど日々癒されています。

きちんと誠意をもって、一生懸命に努めれば、しっかりと受け入れてくれる人の温かさは、私の求めていた日本人像と一致し、とても感動したのを覚えています。

ただ、何も下調べなく移住し活動するのには戸惑うことも多いかと思います。

都会の看護学生が離島の看護・介護を学んで、夜は島のお家に泊まっていただく活動をしています。

都会の看護学生が離島の看護・介護を学んで、夜は島のお家に泊まっていただく活動をしています。

Q4.今後の目標を教えください

現在、町営の営農支援センターでパッションフルーツを中心に栽培技術を学んでいるので、食べていけるよう一人前の農家になり、楽しみと可能性をアピールし、地元の若者に少しでも帰ってきてもらって島を元気にしてもらいたいなと思います。

「暮らすように学ぶ島」加計呂麻島の学生研修旅行・民泊をもっと宣伝して住民とともに楽しく生きがいを持った継続した活動へ、歴史・文化・自然を軸とした学びの島を保全しながら進めていけたらいいなと思います。やっと形になってきた島素材を活かした昔ながらの無農薬薬草茶の製造販売を現在の島人グループで2~3年の間に量産できるようになって、島の雇用を少しでも生み奄美が世界遺産登録となった時には島民の収入にできたらいいなと思います。ご高齢者の多い島であるので、現在の月に一度のグランドゴルフ大会運営の他に、室内ゲームなどで一緒に楽しい時間を過ごせる機会を増やし、健康長寿して欲しいです。

地元の方々の声にもあるようにIターンだけではなく、Uターンしやすくなるようになにかできたらと思います。

長寿の島のご高齢のみなさまに、なんでみなさまが元気なのか?講演しました。

長寿の島のご高齢のみなさまに、なんでみなさまが元気なのか?講演しました。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください

まずは、好きな場所であることが大切だと思います。

3年間その地で生活していかなければなりません。人口が少ない分、人付き合いは濃厚で集落行事や学校行事で週末のほとんどがつぶれることも多々あり、そういうことが楽しめる人にとっては最高です!

活動面では打ち上げ花火的な活動を私は控えました。3年と言う活動期間が決められていることもあり、その後自分が住まない場合、起こした活動を住民の方々が住民の活動として継続できるような体制づくりまでができるか? 3年が終わって丸投げか終了か? やったことへのその後も考えながら活動すべきだと思いました。

町主催移住体験ツアー。町役場に聞くほどでもない些細な移住の悩みや、地元のリアルな情報をツアー後もフォローしていきます。

町主催移住体験ツアー。町役場に聞くほどでもない些細な移住の悩みや、地元のリアルな情報をツアー後もフォローしていきます。

PROFILE / 籾山 育代さん

籾山 育代さん
年齢
42歳
着任年月
2011年6月
出身地
神奈川県横浜市
前職
ダイビングインストラクター
隊員になって良かった事は?
多くの方々と知り合えたことです。島暮らしを楽しくしてくれた近所の仲良しお姉さんたちを始め、島のことを教えてくださるおじいちゃんおばあちゃん。農業している先輩方、若手就農者のみなさん、島を元気づけようと協力してくださるみなさん。

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