Interview隊員インタビュー

Vol.77 奈良県曽爾村   -   山本 佑子 さん「村の良さを広める仕事をしたい」

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

私も夫も、奈良生まれ奈良育ち。結婚してからは仕事の都合で愛知県に住んでいました。いつか、お互いの生まれ育った奈良に戻り、奈良の良さを広める仕事をしたいと考えていたところ、知人から偶然「地域おこし協力隊」を教えて貰いました。
そういうのがあるのか…とJOINのHPを見ていたところ、奈良県でも募集している所があり、その時たまたま見つけた曽爾村では農業の後継者を募集していました。子供もいるので、協力隊の活動でそのまま稼ぎにつながる農業はとても魅力的。しかも、曽爾では大和野菜である「大和寒熟ほうれん草」を栽培出荷している。
大好きな奈良に住んで、ここでしか栽培できない「大和寒熟ほうれん草」を作る事は、奈良の魅力を伝える仕事に繋げることができるはず…。そう考えた瞬間、応募ボタンを押していました。

家族そろって、曽爾高原にハイキングに行くことも。標高が高いので涼しい!

家族そろって、曽爾高原にハイキングに行くことも。標高が高いので涼しい!

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

現在、農業歴40年の師匠の元で農業の勉強をしています。私はこれまで、植物を育てるという経験が殆ど無かったので、一からの勉強です。
今の時期は、師匠から農業を教わりつつ、新しい農地を借りて自分でほうれん草を育てる準備をしています。今年の春は寒い日が多く、梅雨なのに雨が全然降りません。事務仕事をしていた時には「暑くないし、雨が少なくてラッキー♪」位にしか思わなかったでしょうが、今年は「気温が低くて他地域でもほうれん草がとれるから値段が上がらないな」「雨が無いから上流の水が枯れてきているらしい」など、空を見ながら一喜一憂しています。
自然という、人間の力ではどうにもならないものを相手に仕事をするというのは大変でしょうが、知識や経験、応用力など人間としての器も同時に試されているようで、内心ワクワクしています。

地域での、田植えイベントに参加させてもらいました。

地域での、田植えイベントに参加させてもらいました。

ある一日の活動
5:00起床→5:30畑の草刈り→7:30朝食→8:30出勤、ほうれん草の出荷作業→12:00昼食→13:00出荷作業の続き→15:00ほうれん草の播種→16:30役場で書類作成→17:30保育園へ娘のお迎え→19:00夕食→22:00就寝

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

曽爾に来るまで、一番心配だったのは娘のこと。娘は当時1才。友達ができるほど同級生はいるのか、いざという時の病院はあるのか。また、夫の仕事はあるのか…。もう、考えたらキリがありませんでしたが、現地説明会の時に、曽爾に嫁いで子育てしながら農業をしている方から「本当に困っていたら助けてくれる人はいっぱいいるし、ここで子育てしてる人も居るんやから、きっと大丈夫」という言葉を信じて曽爾に飛び込びました。
実際のところ、曽爾の子供たちは学年を超えて仲良く走り回ってるし、診療所もある。夫の仕事は、ご近所さんに紹介してもらい、小学校の学童の指導員になる事ができました。未知の環境への不安がありましたが、いざ住んでみるとそれは大きな問題ではなかったなと感じています。

娘も一緒に、直売所に野菜を持っていくお手伝い。

娘も一緒に、直売所に野菜を持っていくお手伝い。

Q4.今後の目標を教えてください。

今年度に入り、ほうれん草を作るための畑を新しく借りました。耕作放棄地だったので、残っていた錆びたハウスを解体し、草刈り整地をして、夏頃からハウスを建てはじめる予定です。ハウスが建ったら土づくりをして種をまき、寒熟ほうれん草に取り組む予定です。

目下の目標は、ほうれん草を出荷して収入を得て、少しずつでもお金を貯める事。そして、ある程度のお金が貯まったら、農家民宿をしようと考えています。曽爾も、他の地域と違わず人口の減り続けている地域です。曽爾や田舎に興味を持っている人が、移住をする前に一度どんなものか暮らしを体験できるような、そんな場所を作って、少しでも人口減少を食い止めることに貢献できれば・・・と考えています。

ほうれん草の種まきの様子。種をまいてから、夏は一か月弱、冬は2か月ほどかけてほうれん草は大きくなります。

ほうれん草の種まきの様子。種をまいてから、夏は一か月弱、冬は2か月ほどかけてほうれん草は大きくなります。

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

地域おこし協力隊になりたい動機や気になる事は、人それぞれあると思います。私の場合は、夫婦で話し合って、「奈良に住める」「奈良の良さを広める事ができる」「協力隊終了後もそこで暮らしていく仕事を得ることができる」というのが揃っていた曽爾に決めました。

不安に思う事や心配に思う事も沢山ありましたが、そこは現地説明会で農業をしている同年代の方や、都会から嫁いできたという似た境遇の人に話を聞いてもらう事で解決したり安心できたので、もしこれから地域おこし協力隊になりたいけど何かしら不安があるという方は、ぜひとも現地説明会に行ったり自治体に連絡して見学させてもらったりして、実際に住んでいる方々から生の声を聞くのが一番解決への近道だと思います。

これが、冬の間採れる「大和寒熟ほうれん草」です。糖度が10度以上で、イチゴ並みの甘さ!!

これが、冬の間採れる「大和寒熟ほうれん草」です。糖度が10度以上で、イチゴ並みの甘さ!!

PROFILE / 山本 佑子 さん

山本 佑子 さん
年齢
33歳
着任年月
2016年4月
出身地
奈良県上牧町
前職
派遣事務
隊員になって良かった事は?
隊員として村に入った事によって、役場の方々、議員の皆さん、村民の皆さん、また村を超えて、他の市町村の協力隊と、幅広い交流ができたのがとても良かったです。

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