Interview隊員インタビュー

Vol.78 宮崎県小林市   -   青野 雄介 さん「地方活性化」から環境問題の解決に繋げる

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

子どものころから、ずっと環境問題に興味があり、それを仕事にしたいと思っていました。
前職でも環境に関わる仕事は部分的にできていたのですが、現状の大量生産、大量消費を軸にした経済原理の中での環境問題の解決に大きな壁を感じていました。そのような中、地方で、その地域にあるものを見直し、磨き上げることで地域を活性化する動きが数多く生まれてきていることをメディアなどを通じて知りました。
環境に大きな負荷をかけず、そこにあるものを活用して持続的な発展を目指すそのような動きに、環境問題の解決に向けての大きな可能性を感じました。そして、私もその動きに加わりたいと思い、地方移住を決意しました。最初はそのまま飛び込むことも考えましたが、地方活性化の仕事に関わりながら、3年間独立の準備を行える地域おこし協力隊に魅力を感じ、応募しました。

小林市の自然を楽しんでいます。春はタラの芽の収穫体験をしました。

小林市の自然を楽しんでいます。春はタラの芽の収穫体験をしました。

Q2.日々の活動内容や活動を通じて感じていることを教えてください

現在は4つの活動を中心に行っています。
1つめは月1回開催の朝市イベント「こばやしマルシェ」の実行委員長で、他の地域おこし協力隊メンバーとともに事務局運営も行っています。
2つめは、小林市の有機農家が立ち上げた団体「Kobayashi Organic」の事務局として、プロモーションやイベント企画、販路開拓などを行っています。
3つめは、小林市野尻町の官民複合の団体「薬草・ハーブ活用推進会議」のメンバーとして、ハーブを活用したまちづくりを行っています。
4つめは、宮崎県の地域おこし協力隊の共同体「地域おこし協力隊みやざきサミット」の実行委員で、協力隊同士がつながることで共通の課題を解決することを目指し活動しています。面白いなと思っているのは、移住前に計画していた活動はひとつもなく、全てが様々なところに顔をつっこみながら様々な人とつながることで自然と生まれてきた活動だということです。

「Kobayashi Organic」の消費者会員向け野菜セット。農家自ら配達し、顔を合わせてコミュニケーションを取ることを大切にしています。

「Kobayashi Organic」の消費者会員向け野菜セット。農家自ら配達し、顔を合わせてコミュニケーションを取ることを大切にしています。

ある一日の活動
7:30起床→9:00登庁・関わっている活動に関する事務作業→12:00昼食→13:00関わっている活動に関する打合せ、会議→17:00帰宅・家族との時間を過ごしながら、空いている時間で仕事→24:00就寝

Q3.実際に暮らしてみた感想を教えてください。

小林市でとても魅力的に感じているところは田園風景が広がる「田舎部」と、比較的なんでも揃う「まち部」が車で10~20分圏内で簡単に行き来ができるところです。
都市部に比べるとお店の数は少ないですが、普通に生活する分には不便をしたことがありません。ただ、公共交通機関が発達していないので、車が運転できない人には辛いかもしれません。
また、霧島連山の麓ということもあり、湧水が豊富で、水道水も湧水を使っているらしく本当においしいです。こちらで水を買ったことがありません(笑)
もうひとつは何といっても人です。南国気質と良く言いますが、皆さん優しく、おおらかで穏やかな方が多いように感じます。そして、ヨソモノに対しても全く変わらず、そのように接してくれるのは感動しました。

「Kobayashi Organic」の勉強会の様子。定期的に生産者会員、家庭菜園会員で勉強会を行っています。

「Kobayashi Organic」の勉強会の様子。定期的に生産者会員、家庭菜園会員で勉強会を行っています。

Q4.今後の目標を教えてください。

地域に埋もれた価値を掘り出し、磨き上げ、それを求めている人とつなげることをミッションとする「地域商社」としての活動を生業としたいと思っています。
現在行っている活動は全てそれと結びつくものなので、任期中にできるだけ具体的な形とし、自分がしっかりと生活ができるベースを作りながら、小林市の活性化に寄与していけたらと思います。そして最終的には他の地方の様々な動きと結びつくことで、環境問題の解決にもつなげていきたいと思います。
もうひとつの目標は、地方でチャレンジする人を増やすということです。新しく何かを始めるには、地方は非常に良い環境であると思います。都会には都会の良いところがありますが、現在はあまりに都会偏重になっているので、地方の良さをしっかりと伝えていき、自分のやりたいことに合わせて都会か地方かを選択する、そんな世の中を作っていければと思います。

ほうれん草の種まきの様子。種をまいてから、夏は一か月弱、冬は2か月ほどかけてほうれん草は大きくなります。

「こばやしマルシェ」の会場の様子

Q5.地域おこし協力隊への参加を考えている方にアドバイスをください。

皆さん、赴任前にある程度の計画を持って参加されると思いますが、それにこだわりすぎないことも大切と思います。
赴任して積極的にイベントに参加したり、行政の活動に参加したりすると、様々な人とのつながりや地域に埋もれている資源、地域の課題などが見えてきます。それは赴任前にはどうやっても見えないものなので、赴任前の計画はそれを前提としていない計画になりがちです。
自分のビジョンは大切にしないといけませんが、思い描いていた計画は、見えてきたものや新たなつながりに合わせて、固執せずに柔軟に変更していくことが大切であると思います。

移住相談会に先輩移住者として参加する様子。

移住相談会に先輩移住者として参加する様子。

PROFILE / 青野 雄介 さん

青野 雄介 さん
年齢
36歳
着任年月
2016年5月
出身地
千葉県
前職
専門商社
隊員になって良かった事は?
行政に属することで、とても幅広く地域の方との接点が持てた事。
また、様々なことにチャレンジしながら、最終的な自分の生きる道を見つけられること。

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